妻からのヒマワリ

 

 

 

 

おおむね晴れ。33度。

6時に起きる。

冷たいほうじ茶、アイスコーヒー。

こんな灼熱のなかでも、陸上競技は世界新が出ている。トラックの素材はよほどのものらしい。

感染者が、14000人/日を超えた。ピークがどこなのか誰もわからない。

中等症の患者の一部が、自宅・宿泊療養になる。国民の安心・安全を最優先する、とのことだけれど。

昼餉は、リンゴジャムを塗った全粒粉パン、ミルク、アイスコーヒー。

妻によれば、彦根のとある眼科医院がクラスターになり通院していた400人からの患者がPCR検査の対象になったという。マスクなどつけても無駄だ、と言い続けた医者が感染して、そういうことになった。

「いろいろなお医者がいるもんだねぇ。通院する人もする人だけど」

感想が端的な妻。

人間ドックの検査結果。数値は前年より少しずつ改善している。経過観察は2つほど。

夕餉は、納豆、レタス・パプリカ・キュウリ・トマト・ゆで卵のサラダ、ウインナーソーセージと目玉焼き、ご飯。歌舞伎揚げ。

妻とビデオ会議。

映画は、濱口竜介監督の『寝ても覚めても』。夢現つの境界について、最後に主人公の女が口にする言葉。

セリフの棒読みを指摘する向きが多い。演技しすぎの昨今にあっては、かえって新鮮だし、日常はそんなものだろう。

 

 

 

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世間知らず

 

 

 

 

おおむね晴れ。31度。

5時に起きる。

冷たいほうじ茶、コーヒー。

自宅のコーヒーサーバーもすべてガラス製のV60に。容量は800mlのを。ついでにドリッパーも有田焼のV60を。

そういえば、ハリオは創業100年目だ。もともとは試験管といった理化学品を作っていた。国内に耐熱ガラスの製造工場を持っている唯一のメーカーだという。ほかにもありそうなものだが。

昼餉は、リンゴジャムを塗った全粒粉パン、ミルク、アイスコーヒー。

ジョギング、5.89キロメートル。どこまでも続く住宅街を縫って。人影はまばら。

難民選手団の選手が、この国の人々は世界一優しいのに、難民への関心は低いと。

先進国の中でも、受け入れている難民の数は最低なのだ。亡命者の受け入れもそうだったはず。

国境を接している国に住んでいれば、明日は我が身という意識も、知らずに身についていただろう。

優しさがもしあるとするなら、僕らのは、世間を知らないそれなのかもしれない。裏をかえせば、ご先祖は300年というもの幸せに暮らしてきたといえる。

夕餉は、納豆、冷奴、ウインナーソーセージと夏野菜のオイスターソース炒め、冷たいほうじ茶、アイスコーヒー。食後に芋けんぴ、アイスモナカ。

妻とビデオ会話。いただき物の野菜で作る炒め物が際限なく続くとか。ありがたいことだ。

 

 

 

 

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身の丈

 

 

 

 

晴れ、のち曇り。32度。

7時に起きる。

冷たいほうじ茶、ミルク。

映画は、大友啓史監督の『影裏』。原作は沼田真佑の小説。綾野剛と松田龍平を繰り返しアップで撮っているのに、この役ならではのなにかがそこに映っていない。清流や森、熾火のカットも美しいのに、なにかが映っていない。

どうせなら、説明されてると感じてしまうカットのほうがまだしもと思う。

なにかがそこに映っている。つかみ取れるくらい確かなのに、それがなんなのか皆目見当がつかない——僕らは、そういうカットを求めて彷徨っている。

この映画はタチが悪い。

昼餉は、レタス・バター・マヨネーズ・オリーブオイル・リンゴジャム・クレイジーソルトを挟んだ全粒粉パン、ミルク、アイスコーヒー。

3回目のワクチン接種を政府が検討している。国産のワクチンが間に合いそうだ。

山下達郎の『Big Wave』をなんの疑いもなしに聴けるのは、せいぜいこの1ヶ月かもしれない。

僕が使っているCDプレイヤーBOBeoSound 1は、リモコンのアイコンとなったBeo4と合わせて30万円近い値段がした。20年以上も前のプレイヤーだが、FMラジオもこれで聴いている。ギミック満載なのに故障知らずだ。

2期連続の債務超過だったオンキヨーが上場廃止になった。この先は、ONKYOの冠製品はシャープが作り、米VOXXが販売するという。この国のオーディオ専業メーカーは、小さな会社が数えるくらいになった。

夕餉は、冷奴、夏野菜のスパゲッティ・ナポリタン、赤ワイン、冷たいほうじ茶。

妻とビデオ会議。ひとつ屋根の下で暮らしていれば、そんなに話すこともないのに。

PCを作っているメーカーも5社に満たない。敗戦処理という人もいる。形はどうあれ、続けていられるうちは諦めまい。

 

 

 

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撞着の正論

 

 

 

 

おおむね晴れ。33度。

6時に起きる。

冷たいほうじ茶、アイスコーヒー。

妻から彦根城のハスの花の写真。ミツバチも写っている。百日紅も満開。

米原の朝は涼しいと。こちらとでは5度くらい違う。

映画は、岩井俊二監督の『リップヴァンウィンクルの花嫁』。5年前の作品。3時間という長尺を、撮りながら膨らませていったという。

その物語の物語らしさ。千夜一夜物語のよう。

作用の螺旋を登ったり降りたりしているうちに、人はどこか遠くにきている。

その漂流を捉えるのにかかった3時間の背後には、どれほどの撮り溜めがあったのだろう。軽いめまい。

主演の黒木華を見つめるレンズがいい。綾野剛、Cocco、りりィに見どころ多々あり。

昼餉は、リンゴジャムを塗ったブラウンライスケイク、アイスミルク。

レビューサイトに、主人公の生き方がわからないと。だから、共感できないと。

おいおい。君は、そんなふうに映画を観ているのか。

どこぞの銀行の宣伝にいわく——

 

信じられないことは、信じることから生まれる。

 

これ、増殖のパターン化を宿している。

 

大嫌いなことは、大好きなことから生まれる。

 

逆もある。

 

大好きなことは、大嫌いなことから生まれる。

 

夕餉は、冷奴、レタス・パプリカ・キュウリ・トマトのサラダ、フライドチキン、ご飯、冷たいほうじ茶。

妻とビデオ会議をしながら、陸上競技をそれぞれの家で観戦。男子ハイジャンプと女子三段跳び、それに男子100メートル決勝。どれも印象的な結末。

互いを讃えあう姿。

 

 

 

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アイコニック

 

 

 

 

おおむね晴れ。33度。

6時に起きる。

冷たいほうじ茶、アイスコーヒー。

メガネフレームは、芯のないセルロイド製に限る。アセテートはダメだ。だが、セルロイドフレームの選択肢はとても限られているし、年を追うにつれ減る一方だ。セルロイドという素材の耐久性や加工職人の減少によるものだが、その掛け心地を知ったら後戻りはできない。

だが、この時期の暑さはセルロイドという素材の命取りになるので、夏のフレームはリムレスになる。リムレスとなると、オーストリアのSilhouetteを超えるものはない。発売から20年以上を経て、そのアイコニックな存在をおびやかすメガネはいまだに登場していない。レンズの性能とテンプルの性能がそのまま意匠と直結した構造は、メガネという古色蒼然とした商品の最後の回答になりつつある。

昼餉は、ナチュラルチーズ・レタス・リンゴジャム・バター・マヨネーズ・オリーブオイル・クレイジーソルトを挟んだ全粒粉パン、ミルク、アイスコーヒー。

LASIKに代表される屈折異常の矯正手術が進化して、外科的な手法さえ必要としない日が30年と待たずにやってくれば、メガネやコンタクトといったハードウェアは歴史の彼方に追いやられる。それでも、Silhouetteはモノの発達史を飾るアイコンとして教科書に残るだろう。

20世紀に作られたSilhouetteというメガネを超克できないのは、モノの発達史における重要な研究テーマになると僕は思っている。筆記具とメガネは、日常にあってほとんど変化のない構造体の代表だが、どちらも身体性に依っていることでは比べられるものがない。

残っているのは、服という構造体だけである。

夕餉は、冷奴、トマト・レタス・キュウリ・パプリカのサラダ、カレーライス、赤ワイン、冷たいほうじ茶。

妻とビデオ会議。義兄や叔母の畑で採れたナスやトマトを食べて元気そうだ。

7月の総括を。アクティビティは9日。総距離は59.75キロメートル。80回のスクワットをほぼ毎日。

 

 

 

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バスの相席をめぐるあれこれ

 

 

 

曇り、ぱらつく。30度。

6時に起きる。

アイスコーヒー。

本を求める。カロリーナ・コルホネン著、柳澤はるか訳『マッティは今日も憂鬱 フィンランド人の不思議(原題:Finnish Nightmares)』(方丈社)、スティーヴン・デイヴィス著、大橋悦子訳『ボブ・マーリー レゲエの伝説(原題:Bob Marley)』(晶文社)。

1冊目は、フィンランド人の著者がフィンランド人を語っているベストセラーの絵本。同国ではフィンランド人あるあるで話題になった。この絵本によって、同じ思いで暮らしていることに気づかされたという。気づくのがちょっと遅いと思うのは、こういうことに敏感な国の人々だが、その奥手ぶりがいかにもフィンランド人だという指摘もある。

そして驚くなかれ、描かれていたのは世界中の少しだけナイーブなすべてのヒトについてだったことが明らかになるのに時間はかからなかった。

そのほんのりとした内省は、ナイーブに国境のないことを教えてくれる。

同時に文化人類学が、一方では、差異ではなく同化の研究であることを示唆している。

昼餉は、レタス・チーズ・バター・マヨネーズ・クレイジーソルトを挟んだ全粒粉パン、ミルク、アイスコーヒー。

ジョギング、5.81キロメートル。

妻は、相続する土地のことで義姉や近隣の人と話し合いに。家の解体の見積もりもお願いした。やればできるじゃないか、と言いそうになって、代わりに、偉いなぁと何度も。

ほんとにそう思う。

夕餉は、冷奴、トマト・レタス・キュウリ・パプリカのサラダ、手羽先の唐揚げ、稲荷寿司、赤ワイン、冷たいほうじ茶、アイスコーヒー。

 

 

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自覚の根

 

 

 

 

曇り、少しぱらつく。31度。

5時に起きる。

冷たいミルク。

全国の感染者が1万人/日を超えた。ワクチンを打つのが最善の策らしい。久しぶりに聞く首相の言葉。宙をさまようような目。

与党にも野党にも、開いている政治家が見当たらない。閉じているのは、政治家だけだろうか。

明け透けとか、野放図とは違う。開いているべきは、理性の扉。互いを高めようとする意思の扉。最善を施すのに貪欲であるという自覚の鏡。イデオロギーを常に疑う澄んだ猜疑心の泉。

徒党を組むことへの羞恥心がないと、どんどん閉じていく。

政治家が持っていないのは、その羞恥心か。

昼餉は、キュウリ・ナチュラルチーズ・リンゴジャム・マヨネーズを挟んだ全粒粉パン、シリアル、アイスコーヒー。

そんな政治家などこの世界にいないというなら、ウルグアイの第40代大統領、ホセ・アルベルト・ムヒカ・コルダーノの来し方を見ればわかる。

夕餉は、冷奴、トマト・チーズ・キュウリのサラダ、アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ、冷たいほうじ茶、アイスコーヒー。

Appleは、OS群のパブリックベータ・プログラムを更新してβ4をリリースした。iOS 15.0のパブリックベータをインストールする。Montereyはどんな感じなのだろう……

 

 

 

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朝の花

 

 

 

晴れたり曇ったり、夜に雷雨。31度。

7時に起きる。

アイスコーヒー。

シートポストを高くして、タイヤに空気を入れて、妻のマウンテンバイクを漕ぐ。

昼餉は、レタス・ナチュラルチーズ・バター・オリーブオイルを塗った全粒粉パンのサンドイッチ、アイスコーヒー。

ジョギング、6.04キロメートル。

彦根城のお堀のハスの花が咲き誇っていると、マスターの撮った写真を妻が送ってくれる。

個人メドレーの大橋由依さんを祝って、ご当地では号外が出たと。大器晩成を絵に描いたようなその来し方が、滋賀の子らしいとも。

夕餉は、ケンタッキーのフライドチキン、ナゲット、赤飯、コーラ、ミルク。アイスコーヒー。

妻とビデオ会議。赤ワイン。

豪雨、轟く雷鳴。空を真っ二つに切り裂く稲光がすぐそこに見える。

短い停電のあとで、妻とまたつながる。BSもしばし見られず。

風が涼しくなったのは2週間ぶりくらいか。

窓を開けて寝る。

 

 

 

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駆使してくれ

 

 

 

雨、のち晴れ。29度。

6時に起きる。

冷たいほうじ茶。アイスコーヒー。

台風8号が太平洋上を東北へ。

オリンピック種目のサーフィンが荒れる房総の海で開催されている。

波はその都度の波。そこに公平も不公平もない。たまたまに任せて、来た波に乗る彼らの姿がいい。大波に揉まれて、体力を使い果たして、運も不運も受け入れて。

もみくちゃにされ、ボードが体に当たり、それでも彼らは取り憑かれたように挑む。

昼餉は、リンゴジャムの全粒粉パン、シリアル、アイスコーヒー。

オリンピックの良さは、さまざまなスポーツを通じて人の本来の姿が見られるところにある。

互いを讃え合う、その空間を作り上げるのは、選手に許される最上の時間かと思う。

勝った、と喜ぶ。その時の敗者の姿が見たい。喜びを爆発させた勝者が、己に戻って、次にどこを見るのか。何を気遣うのか。

カメラは、そういう姿を追うべきだし、絶叫しがちのアナウンサーは、ただ見守って欲しい。ただただ、そういう姿を固唾を飲んで見守りたい。

カメラの持っている力を、見せつけてほしい。流れる汗とか、歪む顔とか、泥とか血とか、叫ぶ口とか、煮えたぎる瞳とか。

そんな時間を静かに共有したい。この国の人々は、勝った負けたばかりだ。

互いを讃え合う人々がそこにいるというのに。

その姿を静かに味わう、そんな時間を奪わないでほしい。

夕餉は、冷奴、トマト・ツナ・キュウリのサラダ、ざる蕎麦、赤ワイン、冷たいほうじ茶、アイスコーヒー。

妻とビデオ会議。

 

 

 

 

 

 

負けてこそ

 

 

 

晴れ、のち曇り。32度。

6時に起きる。

アイスコーヒー。

メダルを取ったアスリートたちは、この状況下での開催に、異口同音に感謝の言葉を口にする。一方で、その姿に力付けられた人々からの言葉が彼らに届いてもいる。

観客のいない空間が、選手にとっても応援する人々にとっても、きっと最後まで馴染めない景色として残る。

昼餉は、りんごジャムを挟んだ全粒粉パン、シリアル、ミルク、アイスコーヒー、煎餅。

妻は、懸案だった相続のことに義姉と手をつけつつある。

感染拡大は地方でも顕著になっている。北海道も蔓延防止措置を要請するらしい。

負けたことを悔しがる気持ちは、想像に難くない。だが、この国の選手やメディアには、負けた時の姿に求められるものが他にある。勝った者への敬意とか賞賛は、しっかり表してこそかと思う。

夕餉は、鶏胸肉のレモン焼き、塩ラーメン、稲荷寿司、冷たいほうじ茶、アイスコーヒー、煎餅。

 

 

 

 

釘付け

 

 

 

晴れ。33度。

5時に起きる。

冷たいほうじ茶、コーヒー。

昼餉は、グリーンレタス・ナチュラルチーズ・クリームチーズ・オリーブオイル・バターを挟んだ全粒粉パン、ミルク、アイスコーヒー。

ジョギング、6.56キロメートル。

誰もがテレビ観戦しているのか、街に人影もなく。

夕餉は、冷奴、ツナ・キュウリ・トマトのサラダ、味噌汁(玉葱・人参・小松菜・油揚げ・豆腐)、チャーハン、冷たいほうじ茶。アイスコーヒー。

妻とビデオ会議。

 

 

 

 

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遠吠えの満月

 

 

 

おおむね晴れ。31度。

6時に起きる。

ほうじ茶、アイスコーヒー。

オリンピックの競技が始まっている。

初戦で敗れ、その足で国へ帰る選手がいる。

輝けるほんの一瞬を過ごして。

空港と選手村、それにスタジアムと競技場——目に映ったこの国の風景を、どんなみやげ話にするのだろう。

この国の匂いを、その鼻は深く吸い込んでいるだろうか。肌は、陽射しに焼けて幾ばくかの色を残しただろうか。

タラップを降り立った祖国は涼しいのか、それとももっと灼けついているのか。

待っているのは、どんな暮らし向きなのだろう。

昼餉は、オレンジマーマレードを塗った全粒粉パン、ミルク、アイスコーヒー。

妻からの写真に写っているのは、10秒しか鳴かない蝉。出し惜しみしているかのように鳴く、エコ蝉。網戸にへばりついて、そのまま絶命したように動かないので、妻が内側から突いてみたら、飛び立ったという。鳴かなかったのは、メスだったからかしら、と。

もう1枚は、ひまわりの葉裏でひとごこちのアマガエル。四肢ができたばかりのよう。

義兄の菜園は、都市計画ばりのプランに基づいて野菜も花々も粛々と育っている。人柄がそんなわかりやすく出ている畑はほかにあるのだろうか。

夕餉は、冷奴、トマト・キュウリのサラダ、納豆、ズッキーニ・玉葱・ウインナーソーセージの中華炒め、味噌汁(玉葱・人参・油揚げ・豆腐・小松菜)、玄米ご飯、冷たいほうじ茶、アイスコーヒー。

妻とビデオ会議。

今夜は、満月。薄雲の向こうに、月光。

同じ月を、祖国に帰ったオリンピアンも見上げているだろうか。

 

 

 

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わらしべ長者

 

 

 

晴れ、のち曇り。33度。

6時に起きる。

コーヒー、冷たいほうじ茶。

店の紹介とかに、いつからか「こだわりの~」と使うようになった。吟味したりほかにはない特別なものを表している。もともとの拘泥という意味は失せてしまった。

爾来、こだわりのある店は、痩せて見えるようになった。芸を知らない自称芸人が、頬張って美味いと叫ぶ。店主が言葉をかぶせる。

「こだわってますから」

コロナ禍で、その秘伝のタレはどうなっているだろう。

昼餉は、グリーンレタス・クリームチーズ・ゴーダチーズ・キュウリ・オリーブオイル・バターを挟んだ全粒粉サンドイッチ、アイスコーヒー。

ジョギング、5.79キロメートル。

息が上がる。ワクチンのせいかもしれない。

夕餉は、鳥もも肉のスパイシー揚げ、巻き寿司といなり寿司、冷たいほうじ茶、アイスコーヒー。

オリンピックの開会式をチョロチョロ見ながら、妻とビデオ会議。鼻水と鼻声。

義兄が畑で作った野菜や自ら作った梅の実の甘露煮を携えて、妻は友人宅やマスターのカフェを訪う。お返しにいただいたお菓子やらが美味しそうだ。

自転車に乗ったわらしべ長者は、今日も行くよ。

観客のいないスタジアム。当初の目論見とはほど遠いものとなった式典は、これからのこの国のことを暗示しているかのよう。

世界のどの国より人口が先細りになり、右肩上がりの資本主義経済では立ち行かない社会構造に真っ先に突入していく国。

目覚ましい戦後復興を世界に見せようとした’64年のオリンピックの裏側で、UNICEFから子どもたちの給食用の食料支援を受けていた。この国は、そういう道を歩む。必ずといっていいほど。

 

 

 

 

 

さまざまな姿勢

 

 

 

晴れ。33度。

5時に起きる。

コーヒー。

未明から体が痛む。微熱の兆候。ワクチンが働こうとしている。

東京都の感染者は2000人近く。ピークはまだ見えないらしい。

オリンピックの開会式は明日。

選手村に入らない国が出ている。100人近くの感染者が見つかっている宿舎は、すでにリスクなのだ。

開会式典の演出陣から辞める人や解任される人が続いている。過去の発言や行いが白日の下に晒され、謝罪が後手に回ってのことだ。

間違いは誰にもあるけれど、その後の生き方によって変えられる。問われているのはその一点の姿勢だ。なのに、世間には伝わりにくい。多くの場合、伝わらない。

もっとも、たいがいは本人が変えようとしていない。そっちの姿勢は、確実といっていいほど伝わる。

昼餉は、りんごジャムを塗った全粒粉パン、リンゴジュース、アイスコーヒー。

灼熱のベランダでなんとか花を付けようとしている鉢植えのチェッカーベリー。僕らが米原で暮らしているあいだのことを思うと、その生きざまに愛おしさが募る。

小さな白い花芽がふたつほど見えている。たわわに実を付けるには、その数だけの花が咲かなければならないし、花が咲いたなら、今度は受粉を引き受けるハチたちを待たなければならない。

赤い実を目にできるのは、奇跡に思えてくる。

夕餉は、冷奴、キュウリとトマトのサラダ、夏野菜の中華炒め、ざる蕎麦、アイスコーヒー。

妻とビデオ会議。夜半まで話したり黙ったり。

気づいたら、痛みも消えて、いつもと変わらない体に戻っている。これくらいなのかと、がっかりしたり。

 

 

 

 

 

ほころびをほころびで繕う

 

 

晴れ。33度。

6時に起きる。

ざくろ酢のジュース、アイスコーヒー。

近所の医院で、ワクチン接種の2回目。

開会式を前にして、オリンピックの競技が始まっている。ソフトボールとかサッカーの予選に観客の姿はない。

どこかからのあまたの声援を、選手たちは浴びているだろうか。

昼餉は、ケンタッキーでドラムスティック、フレンチフライ、ビスケット、コーラのランチ。帰宅してからリンゴジャムを塗った全粒粉パン、ずんだ餅、アイスコーヒー。

映画は岩井俊二監督『Last Letter』。キャスティングが絶妙。松たか子、広瀬すず、庵野秀明、森七菜、小室等、水越けいこ、木内みどり、鈴木慶一 、中山美穂、豊川悦司、神木隆之介、福山雅治。

物語のちょっとした綻びが、ずっと頭の隅っこに残る。意図したことかもしれないと思いつつ。消えそうで、うっすらと続く物語を綻びで繕うことが、監督のやろうとしたことだとしたら、もう余計な言葉はいらない。

主題歌『カエルノウタ』にぐいっと持っていかれる。歌詞もメロディも、そして森七菜の声も。

岩井監督の詩における言葉の選び方。カエルとその群れと声を切り取る。なにも説かず、膨らませようとせず、意図を見せず。溢れ出すものの量とカエルというイメージへの圧倒的な撞着。そして、密やかさ。

夕餉は、トマト、冷奴、アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ、リンゴジュース、アイスコーヒー。

妻とビデオ会議。なにかを探すという意思のあるわけでもなく、それでも張り巡らせて話している。

低い解像の手触りが、離れていることのさまざまを運んでくる。二人して、それを味わっている。

 

 

 

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