わらしべ長者

 

 

 

晴れ、のち曇り。33度。

6時に起きる。

コーヒー、冷たいほうじ茶。

店の紹介とかに、いつからか「こだわりの~」と使うようになった。吟味したりほかにはない特別なものを表している。もともとの拘泥という意味は失せてしまった。

爾来、こだわりのある店は、痩せて見えるようになった。芸を知らない自称芸人が、頬張って美味いと叫ぶ。店主が言葉をかぶせる。

「こだわってますから」

コロナ禍で、その秘伝のタレはどうなっているだろう。

昼餉は、グリーンレタス・クリームチーズ・ゴーダチーズ・キュウリ・オリーブオイル・バターを挟んだ全粒粉サンドイッチ、アイスコーヒー。

ジョギング、5.79キロメートル。

息が上がる。ワクチンのせいかもしれない。

夕餉は、鳥もも肉のスパイシー揚げ、巻き寿司といなり寿司、冷たいほうじ茶、アイスコーヒー。

オリンピックの開会式をチョロチョロ見ながら、妻とビデオ会議。鼻水と鼻声。

義兄が畑で作った野菜や自ら作った梅の実の甘露煮を携えて、妻は友人宅やマスターのカフェを訪う。お返しにいただいたお菓子やらが美味しそうだ。

自転車に乗ったわらしべ長者は、今日も行くよ。

観客のいないスタジアム。当初の目論見とはほど遠いものとなった式典は、これからのこの国のことを暗示しているかのよう。

世界のどの国より人口が先細りになり、右肩上がりの資本主義経済では立ち行かない社会構造に真っ先に突入していく国。

目覚ましい戦後復興を世界に見せようとした’64年のオリンピックの裏側で、UNICEFから子どもたちの給食用の食料支援を受けていた。この国は、そういう道を歩む。必ずといっていいほど。