日々の営みから得られること

 

 

 

 

 

 

 

 

 

晴れ。32度。

7時に起きる。

朝餉は、蜂蜜とヨーグルトをかけたバナナ、レタス・トマト・キャベツ・大根・大豆煮・カニカマ・バジルのサラダ、味噌汁(小松菜・キャベツ・玉葱・人参・油揚げ・豆腐)、バタートースト、アールグレイ。食後にコーヒー。

 

『植物の神秘生活』より――。

(前略)一本の木の根を数えた人はまだ一人もいないが、たった一本のライムギの研究が指摘していることは、支根総数は一三〇〇万以上、それらをつなげば、全長六〇〇キロメートルになるということである。ライムギのこれらの支根には微細な根毛が概算一四〇億本生えており、それらの全長は一万六千キロメートル、ほぼ地球の両極間の距離に達する。

 

これは冒頭の方の一部で、ほぼ全編にわたって数字が出てくる。地道に収拾してきたデータだ。並んだ数字に意味があるとすれば、それは微細な世界の稀有壮大さを物語る数多の銃弾の役目かと思う。僕らの身体をそれらが射抜いていくときの歓びは、生半な言葉であらわせるものではない。

本が届いて知ったのだが、帯の惹句に引用されているのは白洲正子さんが新潮社文學界に寄せた文章だった。36年前の初版時には存命でいらっしゃった。惹句に曰く、「近頃こんなに面白い本はなかった」。

昼餉は、ミルクをかけたオールブラン。

中野サンプラザが今日で50年の歴史に幕を閉じると、サンデーソングブックで山下達郎氏が語る。最後のステージを彼と彼のバンドが務めるという。ご本人も不確からしいが、中野サンプラザでもっとも演奏したミュージシャンは山下さんらしい。番組では、氏がこれまで演奏してきたサンプラザのライブ音源を棚からひと掴みして放送した。ライブラリーには自身の膨大なライブ音源が並んでいる。選りすぐりのライブ盤が、いつか日の目を見ることはあるだろうか。

ズート・シムズだったかローズマリー・クルーニーだったか……微妙に違うような気もするけれど、僕が中野サンプラザで聴いたのはジャズミュージシャンだったと思う。

『植物の神秘生活』や山下さんのライブ音源を挙げるまでもないけれど、コツコツ集めてきた物事が、その蒐集の地道さのみにおいて威力を発揮するということ。日々の営みに参照されるものには、何にも増して力があることを教えてくれる。

夕餉は、冷奴、納豆、小松菜のお浸し、玉葱・人参・アオサ・コーン・大葉のかき揚げ、味噌汁(小松菜・ワカメ・玉葱・人参・油揚げ・豆腐)、玄米ご飯、赤ワイン。食後にチーズケーキ、コーヒー。