歳をとって彼は……

 

 

 


晴れ。27度。
7時に起きる。
朝餉は、蜂蜜とヨーグルトをかけたバナナ、サラダ(レタス・キャベツ・キュウリ・トマト・チーズ・カニカマ・バジル)、味噌汁(サツマイモ・サヤエンドウ・油揚げ・豆腐・玉葱・人参)、卵サンドイッチ、アールグレイ。食後にコーヒー。
掌中の物事に目を向けないという悪いクセがある。たまたまそこにあるというだけで、己れの所有するところとなったわけではない。掌を目の高さに持っていって、じっくりとその物事を観察する。ためつすがめつして、ああでもないこうでもないと眺めてはたっぷり時間を費やす。なにぶん初めてなもので、とか言い訳をたくさんしながらさらに叩いたり振ってみたりもする。少しずつ、ちょっとずつ。
それでやっとわかりかけてくる。すべての物事との距離感のことは、そうなのだと思う。だがしかし、ぼくは掌中の物事はすでに己れのものだと勘違いしてきた。時間をかけることを端折ってしまった。
昼餉は、中華スープ、焼きそば、コーヒー。
ジョギング、7.41キロメートル。最大心拍数148bpm、最高速度11.1kph。
悪いクセによって、たくさんの失敗をし後悔をしてきた。今もそれは続いている。ほかの人はどうなのだろうという目で誰かを観察したことはないけれど、あいつは鈍臭いという目で誰かを見てはいなかったかと思う。その彼(彼女)が、物事に費やす時間や距離のことを今さらのように問い直している。
年とともに、ぼくは頭が低くなる。そして、畏れを抱く。耳をそばだてる。足元を見つめる。それでもなお、自分はなにかを忘れてはいないかと気が気でない。歳を取るということは、ぼくにかんするかぎり、そういうことなのだと思う。
夕餉は、冷奴、マカロニサラダ、卵焼きを添えたピーマンの肉挟み焼き、味噌汁(ナメコ・キャベツ・油揚げ・豆腐・玉葱・人参)、玄米ご飯、赤ワイン。食後にコーヒー、餡子の団子。

妻と観たのは山崎貴監督『ゴジラ-1.0』。アカデミー賞の視覚効果賞を取ったばかりだが、もうストリーミングで見られる。そもそも荒唐無稽の生き物が主人公なのだから演出云々ではないのだが、戦後の悲壮感をゴジラとリンクさせないという監督の決意は伝わってくる。15億円で完成させたことがアカデミーでは大きなインパクトだったと伝え聞く。戦争の悲惨さは、ゴジラの比ではない。それが伝わってこないのは、監督が戦争を体験していないからだと言うことは簡単なことだ。