称号にふさわしい男

 

 

 

 


曇り、のち雨。16度。
7時に起きる。
朝餉は、蜂蜜とヨーグルトをかけたバナナ、サラダ(サニーレタス・キャベツ・大根・大豆煮・チーズ・カニカマ・バジル)、味噌汁(小松菜・ジャガイモ・玉葱・人参・油揚げ・豆腐)、卵サンドイッチ、アールグレイ。食後にコーヒー。
妻はクワイアの練習で代々木へ。夜遅くに戻る。
ジャズの録音でBlue Noteとルディ・ヴァン・ゲルダーは一里塚を築いた。それは間違いない。だが好みでいえば、ぼくはVerveが肌に合う。Verveの50年後半から60年前半に録音されたオスカー・ピーターソン・トリオしかないと思っている。この時のThe Trioは鉄壁である。選曲もいいし、企画も粒揃いだ。ノーマン・グランツが録音に投じた情熱は音に刻まれている。嫌味がないし、すべてに彼の穏やかさが行き渡っている。そういう中庸を情熱とは呼ばないのかもしれない。世の中は、ベンチマークをどこかで軽んじるものだ。
とりあえずなにかを聴こうと思ったら、Verveから1枚選んで(多くの場合はPlaysからコール・ポーターとかエリントンとかガーシュウィンなのだけれど)、ウィスキーをちびちびやるのが歳を取ってからのお約束になった。耳がそんなふうなところへ落ち着くことになろうとは、となんど感慨にふけったことか。
レイ・ブラウンのE弦の開放音はスピーカーの低音に対するベンチマークであるし、エド・シグペンのハイハットシンバルは高音に対するベンチマークであることに異論を挟む人はいないと思う。マイクスタンドの設置が偏っているという指摘はあながち嘘ではない。左のスピーカーを占有しているレイ・ブラウンは、それに相応しい演奏をしているのだから仕方ない。レイ・ブラウンをステージで紹介するとき、ノーマン・グランツは「The Man、Ray Brown!」と控えめに言ったものだ。グランツがつねにそう紹介したベーシストは彼だけだと思う。
ぼくは、ロサンゼルスのオレンジ郡に開店したばかりのROAという店で、レイ・ブラウンに触れられそうな椅子で聴いたことがある。泣きそうになり、それから笑いそうになり、最後はしんみりした。彼は、ステージの合間にぼくらの席にやってきて来月の日本公演を愉しみにしているんだ、と穏やかな声で語った。
昼餉は、ピスタチオのペーストを塗ったサンドイッチ、コーヒー。
古書が届く。デニス・ルヘイン著、加賀山卓朗訳『コーパスへの道』(ハヤカワ文庫)。注文してからハッとしたのだが、この本は棚のどこかにひょっとして眠ってはいまいか。
夕餉は、梅干し、鶏ひき肉のハンバーグの残り、シジミの味噌汁、玄米ご飯、ウィスキー・オンザロック。食後にコーヒー、煎餅、キャラメル。
AppleはOS群の開発者バージョンを更新してβ1をリリースした。macOSは14.5、iOSは17.5。このあとはWWDCで新しいOS群の発表がある。