悩ましい、あの声のままで

 

 

 

 

 

晴れ。16度。

7時に起きる。

朝餉は、三種プレート(カニカマを添えた冷奴・刻んだ大葉を混ぜた卵焼き大根おろし添え・マヨネーズをかけたブロッコリー)、里芋の煮っ転がし、味噌汁(シメジ・大根の葉・ネギ・油揚げ・豆腐・ネギ)、梅干しを添えた玄米ご飯、白湯。食後にコーヒー。

古書が届く。ロジャー・ペンローズ著、林一訳『心の影 2(原題:Shadows of the Mind)』(みすず書房)。

古書店主はなにかを勘違いしたのだろう。でなけば、状態がよほど悪いのだろう。それならそれで、あきらめがつく。意を決して注文した本は帯こそ付いてなかったが、きれいだった。こんなことがたまに起きる。

3つのカーシェアリングに会員登録する。EVに限ったサービスもあって選択肢はそこそこある。会員は増えそうな予感がある。今は、嵐の前の静けさを思わせる。米原のほうがよほど利用されている。わけはしっかりあるのだけれど。

妻と散歩へ。歩きはじめはポカポカだったのに3時を過ぎると北風が吹いて気温がぐんと下がった。帰る足が速まる。ぼくらは去年の暮れあたりから取り憑かれたように歩いている。わけがあって歩きはじめた。今となってはそのわけが意味を持たなくなりつつある。歩いていると、考えていることもやがて忘れてしまう。そして、歩くことだけがぽっかり浮かびあがってくる。

目指していたことが、ちゃんと目の前にあらわれている。この世は不思議だ。そう感じながら、歩いている。

昼餉は、フードコートでおにぎり、ずんだ団子、コーヒー。

大貫妙子を聴いていると、彼女に連なる若い女たちの佇まいが浮わついて見える。大貫妙子の足は根っこのように大地にくい込んでいる。若い女たちは、誤解している。彼女の声はふわふわして聞こえるけれど、実は逆だ。そういう声を若い女たちは目指す。やがて、若い女たちは迷子になってしまう。見えていたはずの大貫妙子はどこかへ旅立っている。若い女たちの焦燥は答えを求めて宙を徘徊している。徘徊がカタチになるとしたら、そこからが若い女たちの正念場だというのに、若い女たちはすでに異なる存在になってしまっている。

大貫妙子は、若い女たちの及びもつかない場所で大貫妙子であり続けている。そして、はからずも誤解してしまうような声で唄い続けている。

夕餉は、里芋の煮っ転がし、大根・人参・竹輪の煮物、味噌汁(シメジ・油揚げ・豆腐・玉葱・人参・大根の葉)、白菜のとろとろ丼、赤ワイン。