すべての物事に憑依するもの

 

 

 

 

 

 

 

晴れ。16度。

7時に起きる。

朝餉は、蜂蜜とヨーグルトをかけたバナナ・柿、サラダ(サニーレタス・キャベツ・大根・大豆煮・カニカマ・チーズ・バジル)、味噌汁(エノキ・大根・人参・玉葱・油揚げ・豆腐)、オレンジマーマレードのトースト、アールグレイ。食後にコーヒー。

ついでに立ち寄った靴屋でブーツのスエードの汚れを取るクリームが見つからず。かねてより気になっていたマウンテンブーツを手にとって、その薄っぺらさに物悲しくなる。名ばかりのブーツは街で履くにしても、ちょっと心許ない。きっと、すぐ手放す。そのブーツには時が憑依しない。親密さという続柄を紡げない。ブーツともあろうものが、と僕は哀しむ。それをマウンテンブーツだと言い張る靴屋の商魂を呪う。

申し訳のクリームが塗られ、革にまあまあの艶が残る、誰かが履き続けてきたブーツが好ましい。ゆえあって彼は手放したのだ。それを受け継ぎたい。張り替えて、それでも少し減っているソール。アルプスの麓、イタリアの田舎町の工房で昔作られた、そんなマウンテンブーツを探す。写真を見て、来歴を想像する。そんなことをやっていると2時間くらいはあっという間で、これだからブーツに流れる時間は油断ならない、と僕はほくそ笑む。

昼餉は、妻とドーナッツ屋でオールドファッション、紅茶。

古書を求める。キアラン・カーソン著、栩木伸明訳『琥珀捕り(原題:Fishing for Amber)』(創元ライブラリ)。刊行されて2年ほどのこの本も、僕がはじめての読者になるらしい。北アイルランド・ベルファスト生まれの著者に触れるのははじめてで、古書になってしまった来歴を想像するにはあまりに新しく、誰にも祝福されないままできた本の旅を受け止める時間を僕が担う。そのことをまず思う。

夕餉は、小松菜のお浸し、生ひじきの煮物、サニーレタスを添えたメンチカツ、味噌汁(大根・人参・エノキ・油揚げ・豆腐)、玄米ご飯、ウィスキー・オンザロック。食後にナッツ、お茶。

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