目秤り手秤り

 

 

 

 

 

 

 

 

 

晴れ。22度。

7時に起きる。

朝餉は、蜂蜜とヨーグルトをかけたバナナ、レタス・キャベツ・大根・大豆・カニカマ・バジルのサラダ、味噌汁(卵・小松菜・モヤシ・ネギ・玉葱・人参・油揚げ・豆腐)、豆パン、アールグレイ。食後にコーヒー。

妻はクワイアの稽古へ。遅くに帰る。

ジョギング、7.83キロメートル。

沢村貞子さんのエッセイ「目秤り手秤り」から――

 

 昭和十六年に、料理研究家の沢崎梅子さんが、婦人之友社から『家庭料理の基礎』という本を出版されている。その中の、目秤り手秤りの項は教えられることが多かった。

 たとえば、掌の幅はおよそ一〇センチ。親指の長さは五センチ。その幅は二センチ。小指の幅は一センチ見当ということを知っていれば、なにかと重宝する。さつま芋を二センチ角のサイコロに切ってかき揚げでもしたいとき、自分の親指をチラリとみれば、丁度いい大きさに切れる、というわけである。

 鍋の深さが人さし指ほどあって、さしわたしがその二倍あれば、そのなかには四合の水がはいる。二合いれたいときは、半分までいれればいいということも、覚えておくといいことだろう。

 材料を片手にのせてはかるときは、玉子四つで――二〇〇グラム。同じくらいの大きさの根菜(里芋、にんじん、さつま芋など)も、四つで二〇〇グラムだけれど、それを細かくきざんだものは、同じ掌いっぱいでも一〇〇グラムになる、という。

 塩は一握りで大匙二杯分。小指と薬指をはずしてつまめば、大匙一杯分。同じその三本の指でも、指の先でつまめば小匙半分。親指と人さし指の二本でつまめば小匙四分の一、というのもはじめて知った。

 念のため自分でその通りにつかんで、それを計量スプーンではかってみた。私の指は節が高くなっているから、もうすこし多くなるのではないか、と思っていたが、ほとんど、ここに書かれた通りだった。

 

僕は最後の段落が好きだ。生まれが明治の人は、自分の寸法で確かめる。合理が身体に染みているのだ。

昼餉は、塩パン、シリアル、ミルク。

それにしても、鍋の大きさにちょっと止まってしまった。人差し指ほどの深さで、さしわたしがその倍の鍋。我が家にも妻の愛用があるけれど、そんなのめったに使わないのだ。半分で二合の水か、たぶん忘れるだろうな。

タレを作るとき、僕はほとんど目秤りで行き当たりばったりなのだった。

夕餉は、中華スープ、チャーハン、赤ワイン。