伝わるものごとのこと

 

 

 

 

 

 

 

 

晴れ。6度。北東の冷たい風。

7時に起きる。

朝餉は、蜂蜜とヨーグルトをかけたバナナ、大根の煮物の残り、カボチャのコロッケ、味噌汁(大根・玉葱・人参・小松菜・油揚げ・豆腐)、ハムと卵焼きのトーストサンドイッチ、アールグレイ。

床屋へ。いつものツーブロック。

カットしていくその手さばきから、ぜんぶが伝わってくる。彼女や彼の心のありようまでわかることもある。

もっと深いところで、彼女や彼そのものがわかる。どういうヒトなのか。ハサミの入れ方、櫛の扱いだけでわかる。息づかいや、語りかける声のトーンでわかる。

どんな人生なのか。どんなことを心がけているのか。どんな視線を持っているのか。

信じていることも、信じていないことも、ちゃんと伝わっている。

そんなことをわかっている彼女や彼と、わかっていない彼女や彼がこの世界にはいて、わかっている彼女や彼はたぶん、ほんのすこし腕がいい。

昼餉は、菓子パン、ミルクティー。

わかっていない彼女や彼は、きっと辞めていく。そんな気がする。

わかっている彼女や彼には、僕のことも同じくらいわかる。髪に触れてカットをする前から、わかっている。あいさつして鏡ごしに目を交わして、僕の注文を聞いているときに、僕の人生が伝わっている。

僕が彼女や彼のことをわかりはじめるのと同じことが、彼や彼女にも起きている。

夕餉は、漬物、味噌汁(大根・白菜・玉葱・人参・小松菜・油揚げ・豆腐)、キャベツ・モヤシ・玉葱・竹輪・カニカマ・ハムの焼きそば、赤ワイン。食後にチョコレート、焙じ茶。