母と父

 

晴れ、のち曇り。15度。

7時に起きる。

朝餉は、キュウリとワカメ・カニカマの酢の物、姉の天ぷらの残り、大根の皮のきんぴら、鰯の梅煮、味噌汁(カボチャ・大根・人参・油揚げ・大根の葉・シメジ)、ご飯、お新香,柿とリンゴのヨーグルト掛け。

一匹で生きる。

野生の持っている当たり前のことが、僕らにないはずはない。

僕らだって、一匹で生きる。心には野生を抱えているから、社会とは縁もゆかりもない、組織化とは無縁の荒漠とした心象が好ましくなる。若いときは、それが無闇と顔を出す。だから戸惑うのだが、歳を取ると、その甘やかな邂逅をどれほど求めることか。

昼餉は、母がポークカレーの残りと天ぷら。姉は、菓子パンを半分。

母と姉を乗せて、父の病院へ。

「ここに、お爺さんがいるの?」

玄関先で、母が軽くボケてみせる。父をそんなふうに呼んだことは一度もないから、僕らは絶句する。

父は、母の顔を見ても大きな変化がなかった。すぐウトウトしだした。安心したようにも見えたし、興味を失ったようにも。先週より、ツヤツヤしているのは、顔に塗ったクリームかなんかのおかげかもしれない。

見栄えが悪いので入れ歯をしてくれ、と姉が頼む。看護師が入れようとしたら、父は顔色を変えた。看護師の頭をコツンとしようとして腕を上げた。口が痛かったのだろう。

父の状態を考えたら、そんな頼みごとはしないだろうに。

腕を上げられる――余力があるらしい。顔色を変えることもできる。こういうのを、持ち直したと言えるだろうか。

9.2キロをジョグ。森の中の公園を。週1のペースに落ちて、脚が鈍っている。

雪虫が行く手にホワホワ、舞っている。札幌の秋は、それらしく染まっていく。

夕餉は、刺身、ポークカレーをさらう、お新香、リンゴ。