リアシート

 

晴れ。17度。

7時に起きる。

朝餉は、小松菜と油揚げの煮浸し、いとこ煮、味噌汁(大根・人参・シメジ・大根の葉・油揚げ)、ポークカレー、柿・リンゴのヨーグルト掛け、お新香、番茶。

食べ終えたばかりの母を、姉と連れ出す。クルマで紅葉狩り。芸術の森の奥、滝野、空沼のあたり。イチョウは来週らしい。

助手席の母は、ずっと、どこを見ていたのだろう。

父を隣に座らせて、2人で木漏れ日を見たのは4、5年前だった。

1時間ほどのドライブから帰ると、母と姉はソファで船を漕ぎ始めた。

NHKの将棋と囲碁トーナメント。井山裕太さんの打ちまわし。ため息が出る。山田規三生九段を七目半差で退けた。

遅い昼餉は、黒豆煮、マグロの刺身、姉の作ったカボチャとサツマイモの天ぷら、ご飯、リンゴ、番茶。

ある法則を見出す。

冷蔵庫に食材が詰まっていると、僕は、それだけで腹一杯になってしまい、頭のどこかが休眠してしまう。

冷蔵庫は、空っぽへ向けて時を刻むとき、僕を覚醒させる。残り物や、端切れ、賞味期限切れが糾弾してくる。僕の不甲斐なさを責め立てる。

なぜだろう。それが落ち着く。

スカスカの冷蔵庫が、精神を安定させる――それが、冷蔵庫の法則。

夕餉は、抜き。母は、姉の作った天ぷらや刺身、ご飯。

先週のどこかで舞っていた雪虫が、影を潜めている。