萎びた袋の中へ

 

曇り、のち雨。31度。

8時に起きる。

朝餉は、残りの餃子、ハム・ツナ・玉ねぎのピザトースト、ミルク、麦茶。食後にシフォンケーキ。

NHKの将棋と囲碁のトーナメント。羽生さんは、言葉は適当でないかもしれないが、憑き物が落ちたように見える。言い方を変えれば、その憑き物は勝負への執着みたいなものだ。将棋指しなんだからもちろんそういう執着は死んでも持っている。羽生さんは人一倍といっていい。そのうえで、憑き物が落ちたなと感じる。それが枯淡の味わいにも見える。

人一倍でかい袋を持っていて、そこに執着がパンパンに入っていた。対局するたび、そこから少しずつ執着を払っていく。払う分量はもちろん人より多いのだが、なにしろ袋は巨大だった。勝ち続けるから、どんどん払う。払っても袋は同じパンパンだったのだ。

昼餉は、食パン1枚。

だが、いつしか袋は萎び始める。いったん萎び始めたら、今度はパンパンだったぶんだけ目立つようになった。羽生さんのそんな袋を僕は今更ながらに見ている。萎びたからこそ、気づいたのだと思う。皮肉なものだ。他の棋士では気づかないのだから。

世の中は良くしたもので、払いが多い人は、萎びたところに得体の知れないものが逆に入ってくる。

それがどんなものなのか。羽生さんを見る真の愉しみは、これからだと言っていい。得体の知れないものの正体を見られるのだから。

夕方、姪っ子の子供が訪う。小学校の宿題で仕事のことを大人にインタビューする企画。僕と妻が答えてやる。姪っ子も遅れて来る。世間話。

夕餉は、妻の作ったスパゲッティ・ナポリタン。

 

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