実験室

 

晴れ。8度。

8時に起きる。

朝餉は、ほうれん草の胡麻和え、大根の皮のきんぴら、味噌汁(大根・人参・玉葱・小松菜・エノキ・豆腐)、玄米ご飯。食後にコーヒー、饅頭。

煎ったばかりの豆を挽いて、柔らかい温度の湯で淹れれば、旨いコーヒーが飲める。紙のドリップでもフレンチプレスでもサイフォンでも。

時々で多少の違いはあるかもしれない。でも、そのコーヒーは約束を守っているように見える。

いつ煎ったのかわからない、安い豆をスーパーや酒屋の棚に見つけて、おそるおそる挽いてみる。柔らかい湯を用意して、同じように淹れる。

もし味と呼べるものがその豆にあるとするなら、それを探して、あっちこっちの脇道へ分け入っていく。途中で、道がわからなくなる。そもそも、道などあったのだろうか。振り返っても、戻るべきところは見えない。

運よく、目的地が見つかることがある。たとえありきたりでも、それが景色ならよしとする。奥へと続く道が見えていても、言い聞かせる。

僕らは、おおむね後者を生きる。そもそも、道など見つかった試しはない。コーヒーは、だいたいマズい。マズさの幅は、困ったことに、旨さより幅広い。

昼餉はドーナッツ、コーヒー。

後者は、面白い。

明らかに、負け惜しみだ。

コーヒーに限ったことではないと思う。

いつか、旨いコーヒーを口にすることはあるだろうか。

残りが少なくなった時間を前にしても、そんなことを思う。

安い豆から旨いコーヒーを淹れられる日が、来るかもしれない。

今日も、あれこれ試してみる。金のかからない実験は続く。

夕餉は、大根・コンニャク・竹輪の煮物、大根の皮のきんぴら、塩焼きそば、味噌汁(大根・人参・玉葱・小松菜・エノキ・豆腐)。食後にコーヒー、チョコレート。