ドッペルアナスチグマットもいい

 

晴れのち曇り。25度。

6時に起きる。

朝餉は、バナナ、キャベツとレタス、キュウリ、カニカマのサラダ、味噌汁(人参、玉ねぎ、ズッキーニ、豆腐)、ハムと目玉焼き、トースト、アールグレイ、豆乳。食後にコーヒー。

Revoxの音が劇的に変わったので音楽を聴く時間が増えた。

ボリュームを絞るにつれて低音が消え、それに引っ張られるようにして高音が沈んでいたのに、今はそれぞれの音がバランスはそのままにスケールが縮小していく。簡単に書いたが、これはすごいことだ。

EqualizationではないOptimisationだ、とLinnは釘を刺す。よほどEqualizationがお嫌いとみえる。環境を補正するのであって、原音にはいっさい触れていない。だから、Equalizationとは言わない。というわけだが、僕にはよくわからない。

Linnがいう原音とは、なんだろう? 特定のスピーカーが鳴れば、それは詰まるところ、色のついた音ではないかと思う。

君、それは間違っている、と言われそうだ。

劇的に変わったんだから、喜んで聴きたまえ。Linnが言いたいのはそれだけだろう。

昼餉は、かき揚げ蕎麦。

昔、よく使っていたpeakのルーペを引っ張り出してきて、4色刷りの印刷物を確認していたら、改めて15倍という倍率の精度に恐れ入った。Y版のズレが手に取るようにわかる(今はそんな版ズレは理論的にも物理的にもないはずなのだが)。

東海産業が作ったこのルーペの紹介に曰く。

「ピーク・スケール・ルーぺ15×は、拡大率が15×の広角ルーペとガラス・スケール(4種類あって交換可能)とを組合わせたもので、物体にこのスケールを密着させておいてルーペを覗くことにより物体の長さ、あるいは角度、円弧の半径などをきわめて簡単かつ正確に測定することが出来ます。

これは同系統のピーク・スケール・ルーペ7×あるいは同10×の拡大率を一挙に15×まで大きくしたもので、しかも直径14mmの円形視野の端まで鮮鋭に見られるようにするため、ルーぺはとくに像面の湾曲と横の色収差とをほとんど完全に補正した新設計の広角型であります。」

 

僕は図体の馬鹿でかいアナスチグマット・ルーぺ4×も持っていて、こちらは35mmフィルムの全画面検査ができる直径58mmの視野を持っている。どちらのルーペも、ライトテーブルではずいぶん世話になったものだ。

滅多に使わないくせに、机に置いておくと心安らぐのは、プロフェッショナル・ツールが身につけている潔さのなせる技かもしれない。たとえは悪いが、メートル原器の凄みとでもいえようか(「ほとんど完全に」などという意味をなさない文章を使っているあたり、大丈夫か東海産業と思わないでもないけれど)。

夕餉は、ポテトサラダ、味噌汁(人参、ズッキーニ、玉ねぎ、豆腐、エノキ)、炒飯。

コマ収差とか非点収差といった収差を解消していることをスチグマットと呼ぶのだが、アナスチグマットは球面収差も解消している、いわば完璧なのだ。

アナスチグマット――これを3回ほど唱えてみる。何か良いことが起きそうな気になるのは僕だけだろうか。

15倍ルーペは、机の隅っこに居場所を作ってやった。そこは、南部鉄器のクリップ入れのすぐ隣という、好立地ではある。

 

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