その血がなせるもの

 

 

 

 


雨、のち曇り。11度。
朝餉は、蜂蜜とヨーグルトをかけたバナナ、サラダ(サニーレタス・キャベツ・大根・チーズ・カニカマ・バジル)、味噌汁(菜の花・むかご・油揚げ・豆腐・人参・玉葱)、ピザトースト、アールグレイ。食後にコーヒー。
眼鏡のレンズ専門店から配送キットが届く。妻がいたく気に入ったので、それならとやることにしたClayton Franklinの小ぶりの黒いフレーム。そこに妻の処方箋でレンズを入れるのと、ぼくの処方箋でサングラスにモスグリーンのレンズを入れてもらう。ずいぶん昔に買ってコンタクトのときに使っていたサングラスはMax Maraがデザインしたオーストリー製のもの。どちらもちょっと古いので作りがいい。
昼餉は、菜の花と鶏ひき肉のペペロンチーノ、コーヒー。
古書が届く。幸田文著『流れる』(新潮文庫)。冒頭をちょっと引いてみる——

 このうちに相違ないが、どこからはいっていいか、勝手口がなかった。
 往来が狭いし、たえず人通りがあってそのたびに見とがめられているような急いた気がするし、しようがない、切餅のみかげ石二枚分うちへひっこんでいる玄関へ立った。すぐそこが部屋らしい。云いあいでもないらしいが、ざわざわきんきん、調子を張ったいろんな声が筒抜けてくる。待ってもとめどなかった。いきなりなかを見ない用心のために身を斜によけておいて、一尺ばかり格子を引いた。と、うちじゅうがぴたっとみごとに鎮まった。どぶのみじんこ、と聯想が来た。もっとも自分もいっしょにみじんこにされてすくんでいると、
「どちら?」と、案外奥のほうからあどけなく舌ったるく云いかけられた。

どぶのみじんこ、という喩え。この段落はこのみじんこによって命を与えられている。だが、切り餅のみかげ石二枚分という描写こそ決まっている。実際の景色がすっと入ってくる。お父上の血のかよったものの見方。
夕餉は、菜の花のお浸し、さつまいもと蓮根の揚げ甘辛炒め、味噌汁(むかご・菜の花・玉葱・人参・油揚げ・豆腐)、キーマカレー、赤ワイン、ウィスキー・オンザロック。