寝坊して……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雨。22度。

6時に起きる。

知らずに目覚ましを切ってしまったようで、大慌て。

後片付けして、バックパックに最低限のものを突っ込む。駅まで走る。

東京駅八重洲口に開業した地下2階にあるバスターミナルは、南口の地下街から直接行ける。

高速バスと東海道線を乗り継いで米原へ。バスは3列シートの窓側。足柄と浜松で休憩する。

朝昼兼用の食事は、野菜とハム・卵のサンドイッチ、明太子おにぎり、ルイボスレモンティー。昨日の大量の野菜炒めのせいだろうか、胸が焼けている。

新東名高速からの景色は、雨に濡れた緑が燃えさかっている。関西は梅雨入りしたとメディアが伝えている。まだ5月だが、例年より1週間早いくらいとか。

名古屋から東海道線に乗る。大垣乗り換えで米原へ。駅に妻が出迎えてくれた。

こちらのジメジメは、まさに梅雨のそれだ。

アパートに着いて、妻が前日に名古屋駅で求めた熱田名物のきよめ餅を食しながら、あれこれと話す。

妻によれば、アパート2階に入居者が決まったらしい。カーテンがかかっている。

市議会議員をつとめた大家は、妻が高校時代にアルバイトをしていたカフェのオーナーでもある(カフェは今も駅前で繁盛している)。

入居した店子との食事会を欠かさぬのが彼の信条らしく、僕らにもしきりと声をかけてくる。1年が過ぎても諦めない。僕が拒むせいで、妻は苦し紛れの言い逃れをずっとしているのだが、いくら鈍感でも彼は気づいたらしい。

僕らが春に帰るおり、彼は妻にこぼしたそうな。「どうやら僕は嫌われているのかな……」と。

妻は答えに窮したけれど、カフェを辞してきた。このアパートは妻のピアノを置く倉庫のつもりで、僕は入居に際して半分くらいに値切った。内装を一瞥して、それでも高いと思ったからだ。

食事会には行く気がない。アパートをリフォームするのが先じゃないかと言いたいが、もちろん黙っている。

夕餉は、冷奴、味噌汁(玉葱・人参・小松菜・豆腐)、卵かけ丼、赤ワイン。食後にコーヒー、クッキー。