雪、のち曇り。1度。
8時に起きる。
朝餉は、キャベツ・レタス・大根・パプリカ・カニカマのサラダ、目玉焼きとハム、味噌汁(大根・人参・小松菜・油揚げ・シメジ・豆腐)、トースト、りんご・バナナ。食後にコーヒー。
『オリーブ・キタリッジ、ふたたび』より——
「エセル」彼は言った。「おれたち、どんなことしたんだろう」
「どんなことって何の話?」妻はそっと静かに言った。「生き方とか、子供たち?」
「はて、何だろうな」ちょっと間を置いてから、「アニータ・クームズの子供らがどうなっているか聞かせてくれ。いまじゃなくていい。そのうちに」
「ああ、アニータの……。すっかり壊れちゃってるね」
「うちの二人は、そうでもないか」
「そうでもない」
そして彼は自分の腕に向けて、小さく顔を動かした。わずかな動きだ。しかし長年連れ添った夫婦のことで、ちゃんと妻に伝わった。妻がまた夫の腕をさすりだした。
『南北戦争時代の終わり」という短編は、そこで終わる。この夫婦は、夫の浮気以来、部屋を真っ二つに分けて長いあいだ暮らしてきた。別れることもなく。だからといって、話を交わすことはなく。
それが、SMプレイのドキュメンタリーに主役で出演するという娘の爆弾話を聞いて、何かが変わる。
保守とリベラルというような、親子の図式として考えがちだが、両親の方がよほど壊れている。その崩壊について、夫は遠回しに尋ねている。もちろん、子どもはまともじゃない。それは自分たちが発端だったことも理解している。
米国の深い闇を、エリザベス・ストラウトは見つめ続けている。
昼餉は、バターの入ったロールパン、コーヒー。
雪が舞う中、妻と琵琶湖まで歩く。
湖岸の筑摩神社はひっそりしている。日本三大奇祭のひとつ、鍋冠祭りは行われるのだろうか。二人でそんなことを話しながら。
夕餉は、中華麺と鳥肉団子のキムチ鍋、玄米ご飯。食後にあん団子、白湯。
キムチという言葉が出てこない。
妻は、疑という漢字を思い出せない。にすい偏のついた漢字を教えてしまい、恥をかく。
「そうか、にすいのギは、ギタイのギだな」