悠然と

 

アラレ、ミゾレ、雪。3度。

7時に起きる。

母と姉に作った朝餉は、肉じゃが、焼きホッケ、味噌汁(ナメコ・大根・人参・揚げ・豆腐・大根の葉)、ご飯。

妻と僕は、クルマで菩提寺のある余市へ。札樽道に乗るまでに時間がかかった。終点が伸びて余市まで1時間もかからない。楽になったものだ。

御縁さんが在宅で、父の法事のこと、法名のお礼とお布施や納骨料などお渡しする。暖かくなった来年の5月あたりに納骨することにして辞す。

墓は、ミゾレに濡れていた。

国道を走って小樽へ。昼餉は、駅前の店で生チラシ。都通りの老舗喫茶でコーヒーを。87年目の店内に、開け放したドアから冷気が流れ込む。

帰りはずっと国道を走った。札幌の手前まで吹雪いていたのが、手稲をすぎると嘘のように雪が消える。大通公園の紅葉はまだ見頃が続いている。

今年は、ゲップが出るほど紅葉を堪能できた。満足した、と妻がポツリと。

夕餉は、姉の揚げた天ぷら、金時豆、ホッケの開きの残り、味噌汁の残り、ご飯。

ニッカの工場を見学しようとしたが、予約制で叶わず。

裏道を選んだ帰りのこと、道端に光る二つの火。立派なツノが夜陰に浮き上がる。ブレーキをかけて、ヘッドライトの前にたたずむ姿を妻に教える。

彼は、ゆっくり向きをかえて木立の中へ消え去った。

目の前にいるのに何も見えないと言っていた妻が、消えゆく真っ白い尻にやっと気づく。

10秒ほどのことだったが、出会いから別れまで、エゾシカは片時も取り乱さなかった。

 

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