残り時間

 

晴れ、のち雨。19度。

7時に起きる。

朝餉は、かぼちゃの煮物、厚揚げのみぞれ掛け、ピーマンの豚ひき肉挟み焼き、肉じゃが、味噌汁(油揚げ・人参・大根・シメジ・エノキ・三つ葉)、ご飯、リンゴ・柿・ブドウのヨーグルト掛け、番茶。

体温は36.6度。コロナではないらしい。海の向こうの大統領は一両日が要注意とのこと。

父の入院先から電話あり。

胃瘻せず、点滴だけで終末期を過ごすことに決めたと連絡。家に近い病院へ転院することに。

だが、コロナ禍で面会時間が限られている。姉が気に入っている病院は、調べたら月1回10分のビデオ面会。いよいよとなれば付き添えるのだろうけれど、とりあえずはそんなインターバル。

姉はそんなに父を放っておけないと。評判の芳しくないもう一つの病院は、週1回30分で2名まで直接面会できる。

会って触れ合えば父も少しは紛れる、と姉が言う。その気持ちをソーシャルワーカーに伝えて、第二候補に重点を置いてもらう。空きベッドがあればいいのだが。家からもっと遠いところなら、もう少し良い病院がある。だが、そこの面会状況は調べていない。

遅い昼餉は、母とカレーライスを少し、マグロの刺身。母は他にも少し。

姉を乗せて父の病院へ。10分の面会だったが、車椅子に乗せて談話室まで運んで来てくれた。父は眠り続けていたが、姉が声をかけ続けると目を開いた。僕らのことを認識したようにも見えたが、声は出なかった。

父をビデオに撮って母に見せる。変わらないね、と母。でも、母は見たことをすぐ忘れてしまい、あとでまた見せることに。すると今度は、ずいぶん険しい顔をしていると。

父のその無表情さは、義母の末期に見ていたのと同じもの。

誰も飲まないニッカの『竹鶴12年』をちびちびやっている。絶品。

夕餉は、抜き。

母が子どもの頃のことを話し始めたので、iPhoneのビデオで撮り続けた。祖父が羽振りの良かった頃のことで、小さかった母は、祖父の自転車を漕いで銀行への使いっ走りをやったらしい。米問屋を営んでいた祖父の腰巾着だったと。祖母や姉を幼い頃に亡くした少女は、祖父に可愛がられながら商売のイロハを身に付けた。

そんなことを語り終えると、母はまた無口に戻った。