堀口大學という訳

 

晴れ。19度。

6時に起きる。

朝餉は、長芋のすりおろし、プレーンとブルーベリーのヨーグルト、トマト・モッツァレラチーズ・生ハム・バジルのカプレーゼ、野菜とベーコンのポトフ、ご飯。

父の首筋に伸びた髭を当たってあげる。そのまま寝入ってしまいそう。

外に出た父は、生垣のまわりを少し歩いて、雑草に手を伸ばすと、いくつか引き抜いた。そんなことは滅多にしないと姉が言う。

昼餉は、ポトフの残りにバターをのせて、ご飯。

9キロをジョグ。芸術の森の中をぐるっと。

 

――老サラリーマンよ、現在のぼくの僚友よ、ついに何ものもきみを解放してはくれなかったが、それはきみの罪ではなかったのだ、きみは、かの白蟻たちがするように、光明へのあらゆる出口をセメントでむやみにふさぐことによって、きみの平和を建設してきた。きみは、自分のブルジョア流の安全感のうちに、自分の習慣のうちに、自分の田舎暮らしの息づまりそうな儀礼のうちに、体をちいさくまるめてもぐりこんでしまったのだ、きみは、風に対して、潮に対して、星に対して、このつつましやかな堡塁を築いてしまったのだ。きみは人世の大問題などに関心をもとうとはしない、きみは人間としての煩悩を忘れるだけにさえ、大難儀をしてきたのだ。きみは漂流する遊星の住民などではありはしない。きみは答えのないような疑問を自分に向けたりはけっしてしない。要するにきみは、トゥールーズの小市民なのだ。何ものも、きみの肩を鷲掴みにしてくれるものはなかったのだ、手遅れとなる以前に、いまでは、きみが作られている粘土はかわいて、固くなってしまっていて、今後、何ものも、最初きみのうちに宿っていたかもしれない、眠れる音楽家を、詩人を、あるいはまた天文学者を、めざめさせることは、もはや絶対にできなくなってしまった。

サン=テグジュペリ著『人間の土地』より。

 

夕餉は、ジンギスカン鍋のラム・玉葱・ピーマン・パプリカ、ご飯。