すでに生きている?

 

おおむね晴れ。32度。

7時に起きる。

朝餉は、レタス・パプリカ・キュウリ・トマトのサラダ、ベーコンと目玉焼き、トースト、豆乳、麦茶。食後にアイスコーヒー。

LPレコードの原盤を作るためのカッティング・マシンは、もう作られていないと以前に聞いたことがある。最盛期には数千万台も世界にはあったらしいが、今では数千とか言われている。なだめすかして使っているらしいが、だから、LPレコードを作ろうとすると順番待ちの行列に並ばなければいけない。そもそもの録音がデジタルなのだから、カッティングの段階ですでに嘘っぽい。もう、ほんとのアナログには戻れない。録音・再生芸術の世界でさえ、そんな状況だ。

昔のLPレコードを手元に置いておく。そのジャケットを眺める。ときおり、ビニールを引っ張り出して眺める。匂いを嗅ぐ。そっと触れる。

そういう時、これはどこかにあった心象風景だと思ってきた。

11キロをジョグ。

昼餉は、豆乳、フルーツ・シリアル。

ピアノの譜面台に並ぶモノクロ写真と楽譜。主人公はピアノが弾けず、祖先の写真とともに楽譜を飾っている。映画『Blade Runner』の印象的なシーンで、レイチェルが楽譜を見ながら弾いたのは、ヴァンゲリスが編曲したショパンのノクターン13番ハ短調だと言われている(夜想曲を聴けばわかるが、これは違いますね)。目の前のアナログ楽器が弾けない、そのもどかしさはノスタルジアとなって、断裂している時を象徴している。

どうやら僕の中では、LPのビニールがこのシーンとつながっている。アナログだけのオーディオはもうこの世にない。そんな日が来ようとしている。

その時、僕らはあの映画のシーンに生きることになる。

夕餉は、チャーハン、麦茶。

 

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