煽り、煽られ、操り、操られ

 

雨。27度。

7時に起きる。

朝餉は、オクラのポン酢かけ、トマト、卵焼き、焼鮭、味噌汁(人参、玉葱、ズッキーニ、小松菜、豆腐)、ご飯、麦茶。食後にアイスコーヒー。

女房と近江図書館へ。絵本を借りる。

上野そら・作、くまくら珠美・絵『わたしのげぼく』(アルファポリス)、宮部みゆき・作、吉田尚令・絵『悪い本』(岩崎書店)。

 

文=宮部みゆき

 

はじめまして

わたしは 悪い本です

 

この よのなかの

悪いことを

この よのなかで

いちばんよく しっています

 

あなたは いま

悪いことが かいてある本なんか

ほしくないと おもったでしょう

 

でも それは まちがいです

 

いつか あなたは わたしがほしくなる

わたしと なかよくなりたくなる

 

いつか どこかで

あなたは だれかを きらいになります

だれかが いなくなればいいと おもいます

 

あなたは なにかを きらいになります

なにかが なくなればいいと おもいます

 

かならず

かならず

 

そのとき あなたは もういちど

わたしの ページを めくるでしょう

 

そしたら わたしは

あなたに おしえてあげる

この よのなかで いちばん悪いことを

 

いちばん 悪いことを おぼえたら

あなたは いちばん悪くなる

 

いちばん 悪くなったら

なんでも できるようになる

 

きらいなだれかを けすことも

きらいな なにかを こわすことも

 

じょうずに

じょうずに

 

いつか あなたは わたしがほしくなる

そのとき また あいましょう

わたしは まっていてあげる

 

ずうっと

ずうっと

 

あなたが わたしを わすれても

わたしは あなたを わすれない

 

吉田尚令さんの絵が、この文章と合わさると、恐ろしさはいや増す。

昼餉は、フレンチフライとノンカロリー・コーラ。

本を求める。フェルディナント・フォン・シーラッハ著、酒寄進一訳『犯罪(原題:Verbrechen)』(東京創元社)、パウル・ツェラン著、飯吉光夫編・訳『パウル・ツェラン詩文集』(白水社)、大江健三郎著『二百年の子供』(中央公論社)、ヘルマン・ヘッセ著、V・ミヒェルス編、岡田朝雄訳『愛することができる人は幸せだ(原題:Wer Lieben Kann, Ist Glucklich)』(草思社)、宮崎駿著『本へのとびら――岩波少年文庫を語る』(岩波新書)。

シーラッハといいツェランといい、東欧圏の肌合いに見え隠れする鬱屈とした無機質の匂い。さめざめとしていながら、同情の類いをいっさい拒絶している。

長浜には読書家がいると、古本屋が教えてくれる。

夕餉は、トマト・キャベツ・オクラを添えたチーズインハンバーグ、味噌汁(人参、玉葱、豆腐、小松菜)、ご飯、麦茶。食後にアイスモナカ。

この国のマスコミは、また同じ過ちを犯そうとしている。煽るだけ煽り、逆に煽られている。隣国にではなく、自国民に対して。先の戦争で懲りたはずだが。この国の宰相は、自国民の感情を操っている自覚がない。操るだけ操り、やがて操られるだろう。

それは、すでに折り返しを過ぎている。

処暑とともに一息。

 

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