晴れ。33度。まだ5月なのに。
7時に起きる。
朝餉は、リンゴとバナナ、レタスとパプリカ、キュウリのサラダ、味噌汁(人参、小松菜、玉ねぎ、エノキ、豆腐)、BLTサンドイッチ、アールグレイ、ミルク、コーヒー。
糸谷哲郎八段と田村康介七段の一局は、糸谷さんがあっという間に寄せてしまった。40分ほどの対局は一本道ではなかったと思うが、コンピュータを相手にしているかのようで躊躇というものがなかった。中盤以降は、田村さんが負けを予測しているかのようで、それなのに逡巡しなかった。
二人して、迷いを見せたら負け、という目新しい勝負事を始めていた。
人知では歯向かえない難敵の存在。岐路に立っている将棋を、将棋指しが助け起こそうとしている。最初はそうでも、最後に手を差し伸べたのは、将棋のほうだった。
昼餉は、ざる蕎麦。
AIが仕事の妙を奪おうとしている。大半の人々が感じている。
だが、そのことで生じる躊躇も、逡巡も、迷いも――それを美徳と呼んでいいのなら、全部がそこにある。
時間に追われ、逃げ続け、己を見失い、負けて怯える。解決などできず、挑戦に敗れ、退路を断たれ、明日への答えを見失う。
だが、それこそ僕らの持っている力にほかならない。それは力だと思う。深みに嵌まれるのは、僕らだけなのだ。脱出した人はわずかで、ほとんどが沈む。
沈むことにこそ、得られぬことが潜んでいる。
差し伸べられる手は、目の前にあるのに、滅多なことでは気付かない。
それでいいわけがない。だが、それがすべてだと思う。
夕餉は、ポテトサラダ、味噌汁(人参、小松菜、エノキ、豆腐、玉ねぎ)、唐揚げ、玄米ご飯。
眼差しの不実さと
気高さに溺れていた
狂おしい夏だった
青空も声も
小さな死のように
これ以上愛さない
禁じる愛おしさで
瞳は傷口と知る魂の
別々の惑星に
僕たちは棲む双生児さ
野獣の優雅さで
沈黙を舌で味わう
罌粟のように
切なさで胸を痛めながら
君の可憐な喉笛から
あふれ出した虹の涯は
美貌の青空
狂おしい夏だった
手に触れるすべて
欠片の死のように
君の血が透き通る
野蛮な瞳見ては
途方に暮れる真夏の楽園
作詞は売野雅勇さん。『美貌の青空』という歌は、土方巽さんの文集のタイトルから坂本龍一さんが選んだと言われる。作曲は彼だ。