曇りのち晴れ。8度。
9時に起きる。
朝餉は、トーストとミルク。
ベルンハルト・シュリンクの小説『朗読者』の映画化『The Reader(邦題:愛を読むひと)』は監督のスティーブン・ダルドリーの時間読みがしっかりしている。シーンの刻み方が心地いいのだ。彼の素養によるものだとしたら、それはすごいことだと思いながら観ていた。
一つひとつのカットが心地いいのは、計算というより他の何かの介在がある。少しずつそう思うようになり、それが主演のケイト・ウィンスレットにあるのかもしれないと気づいた。彼女の演技--そのテンポが、この映画の息遣いを決めている。最後に、それは確信になった。ウィンスレットは役の年齢を身体の老いで見事に演じている。本当は超のつく美人だが、映画では別人のような中年女から演じて、僕らをぐいっと引っ張り込む。この年のアカデミー主演女優賞を射止めたのには、それなりの理由があったのだ。
昼餉は、抜き。
マシュー・ヴォーン監督の映画『Layer Cake』は、ガイ・リッチーっぽいなと思ったら、ガイ・リッチーは降りたんだそうで、彼と組んで仕事をしていたヴォーンが引き継いだらしい。リッチーがメガホンを取った『スナッチ』と『Lock, Stock and Two Smoking Barrels』がUKクライムムービー3部作と誰かが称すようになった。分かる気がするというか、すぐ分かる臭いがある。込み入った脚本、二度見してもわからない関係図、削りすぎているのか詰め込みすぎているのか判然としないテンポ。これぞリッチーだ。
順番は逆だが、リッチーの『Lock, Stock and Two Smoking Barrels』をイチオシするのが普通だと思う。『スナッチ』はビリだ。
夕餉は、天丼、コーヒー。
『Layer Cake』でのちのジェームズ・ボンドを射止めることになったダニエル・クレイグは若造扱いだが、どこから見ても中年に見えるところがいい。名前のない主演を演じた初めての俳優という称号ももらって、めでたしではある。名無しだったが、自らに課した11の信条とやらが名刺代わりかもしれない。曰く
少人数で動け
目立つな
紹介された奴以外と取引するな
欲張るな
敵を知り尊重しろ
法律をバカにする奴こそバカだと思え
目立ちたがり屋は相手にするな
末端のユーザーは避けろ
サプライヤーにはちゃんと金を払え
計画に従い好調なうちに引退しろ
もう一つは忘れたが、とりあえず、これはすべての仕事に通じそうだ。