言の葉

 

 

 

 

 

 

 

晴れ。20度。

8時に起きる。目が腫れている。

朝餉は、玉葱・ピーマン・ハムを乗せたチーズトースト、コーヒー。

 

オンダーチェ著『イギリス人の患者』より抜粋――

 

 戦時の裏切りなど、人間が平時に行う裏切りに比べれば、子どもだましのようなものだ。新しい恋人が、彼の人の習慣に入り込む。すべてを叩きつぶし、すべてを新しい光で照らす。それを行うのは、ときに臆病で、ときに優しい言葉。だが、心では火が燃えさかっている。

 恋愛物語は、心を見失う二人の物語ではない。無口なもう一人の住人の物語だ。横たわる住人に蹴つまずくとき、その住人は言う。だまされないぞ、誰も、何も、と。眠りの叡智はだまされない、上品な社会習慣もだまされない、と。恋愛物語は、自己と過去の消耗の物語。

 

この本の言葉はどれも詩と洞察が織り混ざっている。解こうとしないこと。そのまま受け入れて、分かるとか分からないとか、理屈を傍へ押しやって、前へ進むことだけを思うこと。

この言葉もいい――。

 

「もっとゆっくり読みなさい、娘や。キプリングはゆっくり読むのが正しい。句読点の位置に注意すれば、自然な息継ぎの場所がわかる。キプリングは、ペンとインクで書いた作家だ。そのページを書きながら、何度も原稿から顔を上げたことだろう。きっと、窓の外をのぞき、鳥のさえずりを聞いたはずだ。ほとんどの作家は、一人のとき、そうする。鳥の名前を知らない作家もいるだろうが、キプリングは知っていたぞ。君の目は速く動きすぎる。やはり北アメリカ人だな。キプリングのペンの速度を思いなさい。同じ速度で読むのでなければ、おそろしく下手くそで、カビがはえたような書き出しになってしまう」

 

本を求める。アニー・エルノー著、堀茂樹・菊地よしみ訳『嫉妬/事件』(ハヤカワepi文庫)。今年のノーベル賞作家。通常のカバーにさらに受賞記念のカバーを被せている。

夕餉は、竹輪・大根・人参の煮物、親子丼、味噌汁(玉葱・人参・油揚げ・豆腐・ネギ
)、玄米ご飯、ウィスキー・オンザロック。

Appleは、OS群のパブリックベータ・プログラムを更新してβ1をリリースした。macOSは13.1、iOSは16.2。パブリックベータの頻度が高くなっている。