内にあって、動かないこと

 

 

 

 

 

 

 

晴れたり曇ったり。27度。

7時に起きる。

朝餉は、ハムと目玉焼き、リンゴジャムのトースト、ミルク、ザクロ酢のジュース、コーヒー。

少しずつ雲が流れてきて、風が止むと、手の届きそうなところに、鼠色の綿菓子が幾重にも重なっている。雨粒を含んでいる、と直感が訴える。

だから、どうした?

読みかけの本を閉じて、着替える。汗で黄ばんでしまったランニングシャツ、ちょっと厚手のショーツ、たるんだ靴下。緑色のキャップを目深に被る。

降るなら、いつでもどうぞ。

濡れて走る。願ったりだ、と。胸の内で語りかけるのは誰なんだろう?

 

ジョギング、4.02キロメートル。

 

たまの10キロと、ほぼ毎日の3キロ――天秤に懸けるなんて、どうしようもない男だと独りごつ。

走る民の記憶は、どこかに眠ったままだ。

 

この200万年に積み重なってきたこの星のあらゆる出来事が、脚を支えている。

それに比べたら、僕らが創造した神とかいう存在のいかに矮小なことか。

夕餉は、ポテトサラダ、鶏胸肉の唐揚げ、玄米ご飯、ウィスキー・オンザロック。食後にアイスクリーム、コーヒー。

 

『精霊たちの家』より――

「この世に生まれてくる時もそうだけど、死ぬ時も、死がどういうものか分からないから恐ろしいの。だけど、恐怖というのは、現実とはなんの係わりもないもので、心の中のできごとなのよ。生も死も、けっきょくはひとつの変化でしかないのよ」とクラーラはよく言っていた。