深い事は気にせず

 

 

 

 

 

 

晴れ。22度。

8時に起きる。

朝餉は、蜂蜜とヨーグルトをかけたバナナ、竹輪と目玉焼き、味噌汁(ナメコ・油揚げ・豆腐・ネギ・玉葱・人参)、ポテトサンドイッチ、紅茶。食後にコーヒー、クッキー。

鯖江の製造元に修理を依頼していたメガネは大修理になることがわかる。彦根の懇意の眼鏡屋がダメ元で直してくれたのだが、テンプルが緩くなってしまっていた。

修理貯金をすることにして、いったん引き取ることにしたのだが、届いてみるとフロントフレームを交換してくれていた。それ以外にも、直せるところはすべて直っている。要するに新品になっていたのだ。

――実は、少しだけ修理を進めておりました。この状態ならしばらく気持ちよく使っていただけると思います。

あまり、深い事は気にせず、お納めください

 

とメールに書かれていたから、当座を凌げるくらいの修理だと理解していたのだった。

暖かい心遣いに触れる。すぐにメールで返事をしようとして、手が止まった。社内閲覧できるメールアドレスを連絡に使っているようなので、慎重な言葉遣いが見て取れた。そこに心遣いの礼を書くのは憚られた。

感謝の手紙をしたためる。米原でメガネを壊した経緯とか、リタイア前の仕事とメガネのこととか。まとまりのない文章を5枚ほど。

義姉が訪う。手紙を書きながら、妻との話しを聞くともなしに。相変わらずのすれ違い。やれやれ。

妻と彦根の銘菓店へ。和菓子の詰め合わせを見繕って、手紙を添えて送ってもらう。

昼餉は、彦根のイタリアンでランチ。メインは、妻がタラコと大葉のパスタ、僕はトマトとモッツァのパスタ。サラダのゼンマイなど春野菜にかけたバルサミコ酢が美味い。フォカッチャ、デザートは妻が自家製プリン、僕がミックスフルーツのパフェ。シェアできるものはそうしながら。

メガネが運んできた暖かい気持ちに包まれている。

せっかくの好意なのだから、受け取ることにしたけれど、そのままではと思いながらあれこれ考える。

夕餉はシリアルを少し齧る。

深夜まで、妻と話し込む。義姉のこと、僕らのこと。これからのこと。図らずも語気を荒げてしまう。せっかくの気持ちを忘れる。