始末と悔やみ

 

曇りのち雨、夜に晴れる。13度。

7時に起きる。

朝餉は、キュウリとカニカマの酢の物、鶏ひき肉と大根・人参の餡かけ煮、味噌汁(大根・人参・玉葱・ネギ・豆腐)、ご飯、ルイボスティ。

夏より冬である。関東ローム層の平野に雲は浮かばない。サングラスは冬にこそ相応しい。ここ5年ほどの家財の始末で、深く考えもせず捨て去ったのは、ジョルジョ・アルマーニがデザインしたラウンド型のサングラスだ。イタリア製の鼈甲柄と濃い緑のレンズ。それは息を飲むようなバランスだった。

行き着く先の見えない始末の工程にうんざりしていた。30年前のそんな古風なサングラスが疎ましく映るくらいに。迂闊な行いにすぐ気づいて、世界のWebを探し回った。だが、同じ意匠のフレームはどこを探してもなぜかなかった。最新のコレクションに、そっくりのフレームが登場している。だが、それは似て非なるものだ。あの発色とバネのある柔らかさは、セルロイドで作れらていたのだ。

返すがえすも悔やまれることが大小あって、人生に陰影を与えている。古い写真の多くを捨てようとしていて、その陰影にまた気づかされる。どこまで行っても、家財の始末にまつわる陰影は拭えない。

昼餉は、バナナ、ロールパン。

映画は、マーティン・ブレスト監督『ビバリーヒルズ・コップ(原題:Beverly Hills Cop)』。都合の良い展開なのだが、だからいって目くじら立てて観るような物語ではない。エディー・マーフィーが飛ぶ鳥落とす勢いだった頃だ。

ブレスト監督はこの映画で名を馳せた。これまで6作しかメガホンを取っていない彼の出世作なのだが、この後に『Midnight Run』があり『Scent of a Woman』へと続く。ロバート・デ・ニーロからアル・パチーノへと続く道である。

『Meet Joe Black』で暗転して、『Gigli』が酷評されてから表に出ることはなかった(今年68歳だからまだチャンスはあるが)。なんにせよ、彼の作品には人のブライト・サイドを温めようとする鉱脈がある。今どきの映画ではちょっと味わえない旨味かもしれない。

夕餉は、餡かけ煮物の残り、さんまの蒲焼、味噌汁の残り、ご飯、ルイボスティ。

 

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