いちばんここに似合う人

晴れ、のちくもり。二〇度。
五時前に起きて、机へ。
午後、七キロをジョグ。
いつの間にか、ハクモクレンが満開だ。せっかく咲いたのに、花びらの端がもう茶色くなっている。世を嘆いているようだ。
ミランダ・ジュライの短編はどれも文章にエッジが効いている。説明するような文がほとんど姿を消している。推進力の塊のような文がその次の文を飛び越えて、またその次の文がそのまた次の文を軽々と跨いでいく。九頭身で股下が九三センチもありそうだ。
その推進力と物語の展開が同期したり、時には乱れたりして、独特のリズムが刻まれていることに気づく。翻訳の岸本佐知子さんが鉱脈を掘り当てている。
物語としてよりも、飛び去る羽音が耳に残る。はっとして振り返ると、その羽音はもう消えている。掴み損なったのか、押さえ込めたのか。どちらにしても実感が湧いてこないのに、文章はそこに黒々と印刷されている。
ソファで、こむら返り。予兆はあった。
意識して水を摂らないと。