軌跡は嘘をつかない

雨。
八時過ぎに起きる。
朝餉は、キャベツとハム、卵焼きのサラダ、味噌汁(大根、人参、サツマイモ、油揚、豆腐、大根の葉、葱)、トースト、バナナときな粉、蜂蜜のミルクセーキ、アールグレイ。
強くなる雨脚をにらみつつ、NHKの将棋と囲碁トーナメント。
昼餉は、ポークカレー。
寒いのに台風だという。渦巻きが太平洋を北上していく。
夕餉は、女房の買ってきたサバの味噌煮、中華風野菜炒め、味噌汁の残り、玄米ご飯、レモンチューハイ。
料理をしていると、大きめの蠅が落ちてくる。網戸にカメムシが力無く這っている。蚊が耳元でか細く鳴る。最期を迎える虫たちよ。
メキシコの麻薬王、ホアキン・グスマンの伝記的なドラマを観ている。貧しい家に生まれ、絵に描いたような育ち方をして組織に入っていく。メキシコという国の貧しさは、アメリカという隣国によってその影の濃さが増す。グスマンが悪の権化のように言われるのはアメリカの司法当局によってだ。アメリカにおける麻薬の旺盛な需要がグスマンを育てたとも言える。メキシコでは毎年、一万人以上が麻薬絡みの抗争で死んでいる。もの凄い数だと思うが、僕らの国の自殺者はその三倍近い。
今年初めに逮捕され、収監されたのは三度目。今度はアメリカの監獄で、終身刑は間違いないと言われているが、二度の脱獄は三度目の可能性を示唆している。短い人生の使い方についてグスマンは何も語ったりしないが、世界の誰より饒舌に見える。