嘘でも、もっとヒリヒリする

降ったり止んだり。
四時過ぎに起きて、机へ。
午後、十キロをジョグ。
映画はロン・ハワード監督「Rush」(邦題:ラッシュ/プライドと友情)。
F1の実話をもとにしている。語り手は、ニキ・ラウダだ。あのニュルブルクリンクの事故を中心に描いている。
なんにせよ、F1のスピード感が伝わってこない。速く見せようとしてさまざまに工夫を凝らしているぶんだけ、のろのろ走っているように見える。「Backdraft」の火事のシーンも「Apollo 13」の打ち上げシーンもそうだった。
がんばって描いているのに、報われていない。ロン・ハワードにつきまとっている言い訳めいた「何か」の正体。それがずっとわからない。ヒューマンなテーマで、実話に基づいていても、薄い半透明の膜がつねに被さっている。
たとえば、あの事故で醜く突っ張ったニキ・ラウダの顔を、映画は手加減して描いている。現実はもっと残酷だった。
雨が降って、ヒヨドリが鋭く啼く。それだけでひと息つける。
夜、女房が帰る。ずいぶん疲れているよう。