腹を割るなんて

くもり。二十二度。
五時に起きて、机へ。
北側の書斎は、まだひんやりしている。
午後、七キロをジョグ。
普段はあまり走らない道をペースを落として走る。
囲碁や将棋のトーナメントがはじまっている。解説の高尾紳路九段が、地の計算が最近つとにできなくなったとおっしゃる。そういうことが意識に浮かび上がってくる時期があるらしい。何気ない言葉なのに、妙に残る。
買い物の帰り、女房と話し込む。義母や義姉のこと。静かに泣くくらい、女房は傷ついている。義姉に思うことや言いたいことは、女房にだってたくさんあるのだ。それに、母親が冷たい人だと言った。そんなふうに感じることも時にはあるが、女房はずっと思っていたのかもしれないと今になって気づく。
腹を割って、話し合えと諭す。僕も、姉となかば怒鳴り合うような話をした。ぜんぶ吐き出すような物言いは応えるし、どうしたって辛い。尾を引く。
腹を割るなんて、今さらできるのなら苦労はない。言っておきながら、そんなことをあとになって思う。
明日から女房は里帰りだ。そのまえに、無理して話さなくたっていいんだからな、と言ってやろうと思う。
まったく、掻き回しているだけのような気がする。そうやって、あれこれ悩むことがつとに多くなった。
地合いの計算ができないとこぼす棋士に己を重ねるのは失礼だろうか。