禅・武の背骨

 

 

 

 

 

 

 

曇り。6度。西北西の風。

7時に起きる。

朝餉は、味噌汁(大根・玉葱・人参・小松菜・油揚げ・豆腐)、ミートローフと玉葱をのせたチーズトースト、アールグレイ。食後にコーヒー。

大根の皮を漬物に。ポン酢、唐辛子、柚子、りんご酢少々。

水上勉著『沢庵』より抜粋――

 

 不動明王は、右手に剣をにぎり、左手に縄を持ち、歯をむき出し、眼をいからして、仏法をさまたげる悪魔を降伏させようと突っ立っておられます。あの姿はどこの国でも見られるもので、その姿を仏法守護のかたちにつくって、つまり不動智を体現してみせたものです。何もしらぬ凡夫は、これに恐れをなし、仏法に仇をすまいと思い、悟りに近い人は、そこに不動智の表現を知って、一切の迷いを去り、この身が不動明王ほどに不動智の心法を体現するならば、もはや悪魔は存在しないのだ、としらせているのが不動明王です。それゆえ、不動明王は、一心の動かぬところをさしたもの、身がぐらつないことです。ぐらつかないということは心が留まらないことでしょう。物をひと目見て、それに心をとめない、それを不動と申すのです。なぜなら、物に心が留まると、いろいろの分別心が胸にわいて、いろいろ胸のうちに動いてくる。心が止まれば、止まる心は、動いているようで、じつは自由自在ではないのです。

 

このあとに、沢庵が柳生宗矩に書き記した『不動智神妙録』の本体が語られる。それは

応無所住而生其心(オウムショジョウニショウゴシン)という言葉に集約されるもので、「どこにも心を止めないで、しようとする心をおこせ」ということへ収斂していく。

昼餉は、小豆餡を添えた焼き餅。

沢庵は、宗矩の息子への教育についても一言あって、あれこれ細かい。二人の往還の深さが窺い知れる。

『不動智神妙録』はその後の武家の必読になり、禅と剣の領域における精神の支柱として読まれていく。

夕餉は、納豆、豚バラ大根、焼き鮭、味噌汁の残り、玄米ご飯、赤ワイン。 食後にコーヒー、ジンジャークッキー。

NHKで井上尚弥のドキュメンタリー。世界バンダム級4団体統一の王者になるまでの日々。強いボクサーでいつづけることの意味がわかっている。宿命なんて言葉を使う。

トリッキーなことはしない、言わない。基本に忠実で、どこまでも冷静だ。己れを過大評価しない。小さいときから、そうだったらしい。つわものらしいつわもの。