その後の小指

 

おおむね晴れ。10度。

6時に起きる。

朝餉は、ポテトサラダ、竹輪と野菜の卵とじ、味噌汁(人参、小松菜、玉ねぎ、とろろ、豆腐)、バゲットのトースト、バナナ、コーヒー。

女房の出勤日で弁当を。

6キロをジョグ。

気づくと、指がだいぶ治っている。あれから二年になるだろうか。

ビクンッと跳ねはじめた小指は、少しずつ元に戻らなくなっていき、ある時を境に動かせなくなった。

 

塗り薬でダメなようなら、手術しましょう。

 

彦根の医者はそう言って僕のバネ指を見た。二度ほど行っただけで通院をやめた。指のことは意識の外にうっちゃって暮らすことにした。時たまゴム仕掛けのように跳ねて、現実に引き戻される日が続いたが、それもなくなっていた。左手の小指と縁を切った--それほど大げさな話ではない。僕の暮らしに小指はたまたま存在していなかった。それだけのことだ。

亜鉛を飲んだからかな?

女房に尋ねると、そんなわけないでしょ、とにべもない。

昼餉は、弁当おかずの残りとパン。

気づいたのは、さっきだった。小気味良い音がする青軸のメカニカル・キーボードもいいかな。そんなことをぼんやり思いながら、手元のキートップをぼんやり見ていた。

そうだったか。

日がな一日、キーを叩かなくなったせいだ。バネ指は、それで治まりつつあるに違いなかった。

ctrlキーを叩く左手の小指は、つねに役割を果たしていたのだ。

夕餉は、唐揚げ、サバの味噌煮、味噌汁(大根、人参、わかめ、豆腐、ネギ)、スパゲッティ・ナポリタン。食後にコーヒーと食パンの耳のラスク。

明日がスーパームーンという月が、新幹線の向こうに登っている。

 

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