記念日


くもり。
四時過ぎに起きて、机へ。
蒸し暑くなるという予報は外れた。
映画はザック・スナイダー監督「Watchmen」。原作はアラン・ムーアのアメリカン・コミック(こういうパターンが多いのは日本も同じだ)。前提となる歴史構築がコミックそのもので、観客はその虚構性を突破できなければ、映画は最後まで苦痛になる。既視感が横溢する映像では眠気が勝ってしまう(これも日本で見られる現象と同じだ)。
ジョアン・ジルベルトを聴く季節になった。
結局、コンピレーション・アルバムを無造作に聴いてしまう。若いときの彼の顔を見たら、図らずも微笑んでしまう。ちょっと哀しげで、ちょっと困惑している。彼の佇まいが、ずっと彼の歌声を作ってきたことがわかる。目の焦点もちょっと合ってないような。ものすごく遠いところではない、中途半端なところを眺めるのにぴったりの瞳だ。
それと、カート・エリング。新譜「Passion World」ではブルージーで抑揚のない彼の声が涼しげだ。凝ったアレンジがちょっと、という向きもあるんだろうか。技巧に走っていない。僕は好きだ。
結婚記念日だった。ケーキを食べて、プレゼントを渡してささやかに祝う。