溶け出ていった何か

 

晴れ。23度。

8時に起きる。

朝餉は、サニーレタス・ブロッコリーを添えた目玉焼きとチーズハンバーグ、味噌汁(人参・玉葱・ジャガイモ・ほうれん草・豆腐)、トースト、アールグレイ。食後にコーヒー、ドーナッツ。

女房が、今年の桜は白いと言う。新宿御苑の桜を昨日見て、その思いを強くしたらしい。

NHKの将棋と囲碁のトーナメント。それぞれの決勝。

将棋は深浦九段、囲碁は井山裕太棋聖が優勝した。どちらも、一方的な対局。

書斎に残った冷たい空気が、少しずつ、片隅へ追いやられていく。

寒い日が戻るとまた這い出てきたりして、その往還のうちに、寝首を搔く愉快犯のように春は背後に忍び寄る。

昼餉は抜き。

ある日、Tizioの均衡が失われている。

気づくと、ライトがあらぬ方へ上っている。ウエイトが増えたわけではない。ライトが軽くなったわけでもないだろうに。

元に戻しても、気づけば、あらぬ方へ顔が向いている。

Richard Sapperがデザインしたこのデスクライトも、時流に即していつの間にかLEDに変わっている。

僕のTizioは、昔ながらのハロゲン球。ユーザーなら軽い火傷は身に覚えのあるもの。

試行錯誤のすえ、11円の投資で均衡を取り戻す。十円玉と一円玉をライトに載せただけで事なきを得る。

11円分の重さはいずこへ消えた?

女房の作った夕餉は、サニーレタスとブロッコリーのサラダ、ほうれん草の卵スープ、キーマカレー。

LINNがSpotifyに対応してくれたおかげで、16bit/44.1kHzで音楽が聴ける。そんなサンプリングレートでもありがたく感じるとしたら、ハイレゾ・ストリーミングの黎明期とはいえ、ずいぶんだなあと思うのは、僕に限ったことではないと思う。

CDもDVDも、物理的な規定によってフォーマットされている。僕らは今日に至るまで、物理的な束縛から解放されたことは一度もない。

そのくびきが、やっと解き放たれようとしている。そう思うのは錯覚だ。フォーマットはどこまでもフォーマットであり続ける。

それは、量子化の扉のあちらとこちらで交わす合言葉のようなものだ。

 

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