今年もリフレインの……


くもり、のち大雨と大風。台風が近づいている。
四時半に起きて、十キロをジョグ。
たくさんの汗が流れて、いっしょにあれやこれやも流れ出ていった。足跡にその残滓がまとわりついて、なにやら重い。
夏が近づくと、井上陽水さんの「クレイジーラブ」が頭のなかで今年もリフレインしはじめる。
脈絡のない歌詞たちの、どっちつかずの離合集散をひと言であらわすと、まさに「特に意味がないから」。それなのに、このやるせなさはいったいどうしたものか。
無意味というより不意味なのか。深刻ぶったシンガーソングライターが、一肌脱いでいちばんの左端からいちばんの右端へポンッと跳んで、あぁ、脱いだぶんだけ軽い軽い。軽くて不意味だから、いっそやるせない。とっても軽いとは、とっても重いんだと悟ったときから、彼は彼らしい居場所に流れ着いたんだね。
今夜は土砂降り。外は大荒れ。キッチンから女房が作るドライカレーの匂いが流れてくる。エール・ビールを胃袋に流し込みながら


夜にゆられて
さまよう先は


と空っぽの頭を音楽に合わせて揺らしている。
金沢の同級生から手紙がくる。先だって、札幌で開かれた中学の同窓会の写真が封筒に入っている。誰が誰やら……。なってこったい、と思わず笑う。古希を迎えた恩師が真ん中で神妙にしている。あとは、見知らぬ妖しいオヂ・オバがこっちを向いて笑っている。やれやれ。