ウォーリー


晴れ、ときどき雨。暖かくなって街がはなやぐ。
南青山三丁目へ向かうタクシーに乗ったとたん、強い風が街を吹き渡り雨が降り出す。外苑のあたりの桜の花の芽はまだ堅そうで、いくら暖かくなりそうだとはいえ、今週末に開花するようには見えない。
アンドリュー・スタントン監督の映画「WALL-E」の主人公は、Pixar Animation Studiosが生み育てたキャラクターの中でも、その孤独の深さにおいて際立っている。それゆえに派生するさまざまな愛情の発露が、映画を切ない気分ですっぽり被っている。永遠に続くかのような単調な彼の作業が、哀しくもあるようで救いにもなっている。地球にわずか一台という、磔刑のような存在として位置づけられた瞬間に、人がこれまでに創造したロボットのなかでもっとも無害で愛すべきモノトニーの代表になったのだ。その救われているようで突き放された七百年という歳月に、僕たちはなぜか感情移入できてしまう。映画の見所は、モノトニーな日々を描く冒頭にのみあると僕は信じて疑わない。物語が動きはじめてから以降は、ひょっとしたら蛇足かもしれない。
NHKのBSでたまたま観て以来、そのチャーミングなキャラクターに打ちのめされてしまい、しまいには海洋堂のフィギュアを手に入れて会社の机上に飾っている。こいつが、太陽光パネルを開いて充電を終えた瞬間の作動音はどこまでいっても切なく、そして暖かい。