母と妻

 

 

 

 

 

 

 

 

晴れ。20度。

7時に起きる。

朝餉は、蜂蜜とヨーグルトをかけたバナナとリンゴ、キャベツ・カニカマ・チーズ・バジルのサラダ、味噌汁(玉葱・人参・レンコン・小松菜・キャベツ・油揚げ・豆腐)、卵焼きとハムのトーストサンドイッチ、アールグレイ。食後にコーヒー、苺チョコ大福。

去年の夏に他界した母の言葉が、いきなり思い出される。

母は、肺炎で入院しているときだったか、入れ歯を新調するために入院しているときだったか、それとも他の入院のときだったか忘れたけれど、付き添っていた僕に言ったのだ。

あんたくらい手のかからない子はいなかったよ(ということは、姉は手がかかったということらしい)、だからね、あんたとの思い出らしいものが途中からないのよ。思い出がなぁーんにもないの。気づいたら、大きくなっていたの、不思議だわ……。

僕はそのとき、ベッドのかたわらに座っていたと思う。そして、笑いながら言ったものだ。

僕もだよ、おふくろとの思い出がほとんどないんだ。不思議だよね。

その言葉を聞いて、母は真顔になった。そんなことを言われるとは、まったく予期していなかったという顔だった。

以前にも同じことを書いた気がする。母の言葉がショックだったとか、これはそんなナイーブな話しではない。

そんな物言いをすれば息子はどう思うかという想像力を、母はまったく働かせていなかったらしい。息子とはいってもいい歳をした男なのだから、気を抜いていたのだ。安心して身を任せていたといってもいい。毎日、病床に来て、ただそばに居ただけなのに。

だが、僕の告白によって、そのことにハタと気づいた。

皮肉なことに、いちばん先に思い出される母といえば、その時のことになってしまった。

妻の作った昼餉は、生クリームをかけたチョコレートパンケーキ、焙じ茶。

悪夢にうなされると、妻は大きな声をあげる。最近はなかったのだが、昨夜は叫び声で目を覚ました。ベッドから抜け出して階段を降りているときにはほんとに叫んでいた。

目を覚ました妻は、照れ笑いを浮かべた。

どんな夢だった?

いや、ちょっとね……。

妻は疲れた顔に笑みを浮かべた。

しばらくして、落ち着いた妻は夢のことを話した。

窓の外に誰かが立っていた。入ってこようとしていたのか。僕がその誰かになにかしようとしていたらしい。詳しいことは話さなかったが、その不気味さは伝わってきた。

ジョギング、9.28キロメートル。

妻の作った夕餉は、納豆、わかめスープ、キーマカレー、赤ワイン。食後にかりんとう、コーヒー。

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