奥義は、大げさ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

晴れ、のち雨。午後遅くにやむ。15度。朝がいちばん温かい。

7時に起きる。

朝餉は、蜂蜜とヨーグルトをかけたリンゴ、味噌汁(レンコン・キャベツ・小松菜・ネギ・玉葱・人参・油揚げ・豆腐)、卵サンドイッチ。

ホワイトデーに注文した柳月の『春結び』が十勝から届く。1日早いけれど妻に渡す。季節の詰め合わせお重『結び』は色鮮やかな風呂敷に包まれている。意匠は季節ごとに変わっていき、見ているだけで気分が晴れる。新作の桜色のタルトがいける。

昼餉は、チーズトースト、紅茶。

深夜にOSがパニックを起こして再起動している。パブリックベータをインストールしていると、そんなことはザラにある。

なにごとにつけ立ち向かう歳を過ぎると、パブリックベータでもあるまいと思うようになる。だが新しい機能に興味が失せたら、こんな面倒くさい電子機器の魅力は半分もない。

ハードウェアが文明だとしたら、ソフトウェアは文化なのだから。

いい加減にしてくれ、と今日も思いながらOSに再起動をかけるとき、文化のことをすこし考える。

人生もやすやす再起動というわけにはいかない。だから、舌打ちを我慢してやり直すような心持ちになって再起動をかける。

この歳になってから、新しい機能にあたるようなイベントが暮らしにあるだろうか。

いやいや、細いことならいくらでも、と思う。台所仕事なんかはそんなことの連続だし、顔を洗うことひとつにしたって年相応の発見がある。

夜中におしっこに起きる。蛇口が緩んだ栓のように、おしっこはいつまでもダラダラ出る。試しに、中腰になってみる。そういう発見は山盛りである。

夕餉は、切り干し大根煮、厚揚げと小松菜の中華炒め、サバの塩焼き、味噌汁(レンコン・キャベツ・玉葱・人参・ネギ・油揚げ・豆腐)、玄米ご飯、赤ワイン。食後にタルト、フルーツティー。

歳を取ったら、なにごとも面倒くさがるな。それがパブリックベータが教えてくれる奥義ではないかと思う。