ポイントのこと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

晴れ。9度。

7時に起きる。

朝餉は、レタスと卵の中華スープ、トマトソースのニョッキ、アールグレイ。食後にチャイティー。

妻はクワイヤの稽古とシルバーチームのアテンドへ。夜遅くに戻る。

働いていたころ、よく尋ねられたことがある。

――それのポイントを教えてください。留意すべきことがあれば、ぜひ。

 

ミーティングで配るハンドアウトにもそれらしきことは書いてある。それがミーティングの目的なのだから、当たりまえといえば身も蓋もない。たぶん、書き方にあいまいなところがあったのだ。

けれど、僕はその場の雰囲気を和らげることに注力したので、ハンドアウトを手に持ってヒラヒラさせながら言ったものだ。

――ここに書かれていることは部外秘でもなんでもないんですが、これから言うことは部外秘ですよ。

昼餉は、ハムサンドイッチ、ミルクティー、カシューナッツ。

出席者の空気が変わったことを確かめてから、すこしだけ作った無言の空白を僕は愉しんだ。これというワケはない。全員が愉しむ。それが忘れ得ぬことだと気づくのがいい。

――強いて言えば……

それぞれの顔を見るともなしに見てから、言葉を継ぐ。

――ほんとのポイントは、ポイントにできない、それがポイントです。みなさんはすでにご存知ですよ、ポイントにできないポイントのことは。

 

こいつ、煙に巻いたな……。

そう思ったヒトもたくさんいただろう。手元のハンドアウトに目をやる人が一人いたらいい、そういう気持ちでやっていた。

夕餉は、味噌ラーメン、おにぎり2個、赤ワイン。食後に歌舞伎揚げ。

箇条書きにできることは、誰だって知っている。

気づいていなかったことは、また忘れる。

経験したことや、考えてたどりついたこと、忘れられない場のこと。

ポイントは、そこにある些細なことの集まりだと立ち返ってみる。

ポイントは、その姿勢なのだと思う。