具象と抽象のはざま

 

 

 

 

 

 

 

 

晴れ、のち曇り。10度。午後に風。

8時に起きる。

朝餉は、味噌汁(大根・玉葱・人参・小松菜・ネギ・油揚げ・豆腐)、ハム・玉葱・ピーマンのチーズトースト、生姜紅茶。食後にコーヒー。

教育テレビで本と本棚をテーマにした番組。角田光代さんの家に見入る。吹き抜けの天井まで伸びる本棚とその手前の椅子を兼ねた階段がおちつきそう。漆喰らしい壁の濃緑もいい。小さな地窓や高窓の穿ちかたもいい。建築家の西久保毅人さんはおもに杉並区で活躍されている建築家らしい。

夫婦が建築家にお願いしたことは3つだけだったという。目立たない家であること(これは大事なことかもしれない)、居酒屋みたいな場所があること(それなりのカウンター?)、そして野良猫が来てくれるような家であること。あとはなんも注文しなかったと。

それにこたえてた建築家は、家をおおうようにたくさんの木を植えたらしい。角田さんは目立たないことが木を植えることになるとは思ってもみなかったらしい。

「鬱蒼」という言葉をここのところあーでもないこーでもないと考えていた僕は3つの注文になるほどと思う。鬱蒼とした木々の中を入っていくかのように、木に囲まれた家に入っていきたい。そう妻に語ったのは数日前のこと。木に囲まれていると、結果として家が目立たない。

角田さんは、注文の仕方に大事なことを教えてくれる。具体的であることと抽象的であることの境界はむずかしいものだ。設計者のイメージを膨らませる抽象化は、具体化よりはるかに大事かもしれない。

でも、角田さんの注文が実はとても具体的であることに建築家は気づくだろう。ところがそこからさらに先は、やはりイメージの世界が広がっているのだ。そのあたりの塩梅はさすがと思わせる。角田さんは意識していないだろうけれど。

夕餉は、大根の皮・人参・油揚げのきんぴら、朝の味噌汁の残り、出汁をとった昆布と削り節で作った佃煮をのせた玄米ご飯、赤ワイン。食後にクッキー。