紙文化はいづこへ

 

 

 

 

 

晴れ。35度。

6時に起きる。

朝餉は、ピザトースト、豆乳、柘榴酢ジュース、コーヒー。

NHKの将棋と囲碁トーナメント。藤沢里菜 女流本因坊が村川大介9段に中押し負け。最後まで戦いどおしの好勝負だった。

昼餉は、食パン、豆乳。

書籍の埃取り。外箱と本のビニールを取り、ブラシで小口を掃き取り、薄い重曹水を含ませたタオルで全体を拭っていく。全集はやっと半分ほどに手をつけた。

筑摩書房の世界文学全集の造本は最高の出来栄えだった。箔押しされた同社のマーク、黒背表紙に印刷された金文字は今でも輝きを失っていない。半世紀以上前の印刷とは思えない。出版界が輝いていた時代の傑作のひとつだと思う。

造本を支えるセレクションも見事で、65巻目のアンチ・ロマン集には、1960年にアラン・ロブ=グリエが書き下ろしたシナリオ『去年マリエンバートで』がそっくり収められている。映画はアラン・レネが監督してヴェネチア国際映画祭金獅子賞を取っている。歴史的全集に収める慧眼のみずみずしさは並ぶものがないと思う。

惜しまれるのは中南米やアフリカの作家が抜け落ちていることだ。ホルヘ・ルイス・ボルヘス、マリオ・バルガス=リョサ、ガブリエル・ガルシア=マルケスをカバーできていないのは、アラン・ロブ=グリエのことを考えると、選考委員たちの偏りを感じざるを得ない。現代の代表的な世界文学全集である河出書房新社のでは、第1集の8巻目にディネセンとチュツオーラが収められている。全24巻の選択は、すべて池澤夏樹に委ねられているものの、その視野の広さと選択の妙は見事ではある。たった24冊で大変だったろう。

2つの全集を見るとき、出版界の置かれた状況の落差に驚くとともに、全集はこれからどうなっていくのだろうと不安にもなる。

夕餉は、納豆、切り干し大根煮、大葉を添えた春巻き、鶏胸肉のフライ、味噌汁(シメジ・ネギ・玉葱・人参・油揚げ・豆腐)、玄米ご飯、ウィスキー・オンザロック。食後にアイスクリーム、ほうじ茶。