足元を見ればわかること

 

 

 

 

 

 

 

おおむね晴れ。19度。

7時に起きる。

コーヒー、ヨーグルトと蜂蜜をかけたリンゴと柿。

妻と長浜の工務店のツアーへ。

山林でスギやヒノキの伐採、枝打ち、4メートル材への仕上げをその場所で行う流れを見学。

個人が持っている森林は、間伐が行われていない。そこに分け入って、主伐までやって森林の生態系を取り戻す。今、森林資源に占める年間の伐採量は0.53%しかない。国土の67%が森林なのに大部分は放置され、荒廃が進んでいる。世界の平均の森林率は30%で、先進国ではフィンランド、スウェーデンに次いで3位の森林大国なのに、実情はとんでもないことになっている。

そのことを林業組合の方に説明してもらう。

昼食は、カツ丼とうどんの定食。腹一杯のボリューム。

午後は、切り出した木が製材所で板になるまでを見る。樹齢60年のスギ材が乾燥前の価格で15000円。とても安いと思うのだが、それでも輸入材にはかなわないという。木が切り出され、船に乗って運ばれてくる。その間にCO2をどれくらい使うかという指標はウッド・マイレージで表される。カナダ産のベイスギは確かに安いが、ウッド・マイレージは跳ね上がる。自国の木を使う、特に地域の木を使えばマイレージは限りなくゼロに近づく。地球温暖化に直結している森林の存在は、これからの国土を護る最前線にある。

そうしたことを現場で学んだ貴重な時間だった。

催してくれたのは、製材から建築まで一貫して行う工務店だった。ツアーに参加したのは10人ほどだったけれど、食事代を含めてすべて会社持ちで、社長さんや専務さんが丁寧に説明してくれた。

ほかの会社で建ててもいいですよ、でもできるだけ地元の木を使ってください。

そう言って、社長さんは笑った。

最後にヒノキの寄木細工でコースターを作って終わった。

夕餉は、即席ソバ、ウイスキーオンザロック。

ツアーが終わって帰宅すると、妻は、なぜか哀しいと言った。それは、この国が抱える不自然な実態を間近にしたからだと思う。

 

 

 

 

 

 

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