春の悲喜交交

 

曇り、のち晴れ。20度。

8時に起きる。

朝餉は、ポテトサラダ、きんぴら、ピザトースト、紅茶、ミルク。食後にコーヒー。

毎年のように除草剤を見舞われた下草たちは、いつしか耐性のようなものができあがる。そんな気さえする。最強の防具で身を固めているようにも見える。春という名の鎧。

それならそれでいい、とさえ思うのもこの時期のこと。

昼餉は、あずきの餡を塗った食パン、ミルク。

ジョギング、9.07キロ。東南東の風。

そこここで、花が散り始める。

妻からビデオ電話。話すのは1週間ぶり。

うららかな日差しに誘われて、青春18きっぷを使い切ろうと、彼女は桜をめぐるローカル電車の旅に出た。

群馬県前橋から乗った電車は栃木県小山へ。両毛線の桜を眺める一人旅だ。

疫病の時代ならではかもしれない。花は、さぞ美しかったことだろう。

夕餉は、食パン2枚、ミルク2杯。

北関東をぐるっと巡り、家のそばの駅に戻って、妻は切符がないことに気づいた。その落胆は、想像に難くない。

駅員さんにも、その気持ちは伝わったのだと思う。

彼は、規則にはないことを妻に言った。

電車賃は要りませんよ、と。

ビデオ電話では笑っていたが、そう言わざるを得なかった駅員さんの気持ちまで、こちらに伝わってきた。

妻の笑顔は、泣いてるようだった。

 

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