曇り。13度。
7時に起きる。
朝餉は、大根・厚揚げ・人参の煮物、ハムと目玉焼き、味噌汁(ジャガイモ・大根・人参・油揚げ・豆腐・小松菜)、トースト。食後にコーヒー、クッキー。
半日かける水道工事の2回目。家中のバケツ、洗面器に水を張る。夜、水からカルキ臭が消えている。
エルメスの手帳は、Globe TrotterとVisionにとどめを刺す。
サイズといい、リフィルを綴じている金属製のリングといい、この世に同じものは二つとない。
リフィルの紙は、フランスらしい薄さで、独特の風合いがあり、味を占めると手放せなくなる。それだけに、というわけでもなかろうが、リフィルは1万円を超える。
手帳の革に惚れ込んでいなければ、手を出すことはまずない。エルメスめ、と舌打ちしたくなるところを我慢して、勤めているときは使っていた。年の暮れ、リフィルを求めてエルメスへ行くときの足はいつも重かった。
だが、新しいのに付け替えると、身がグッと引き締まった。
どことなく、初詣のようで好きだった。
昼餉は、トースト、ミルク。
勤めを辞してからは、トラベルノートや無骨なFiloFaxで我慢してきた。二つの手帳は、引き出しの奥に眠っていたのだ。
だがある日、Visionのリフィルに使えそうなものがあることを知る。ものは試しと、Now On Daysのプレーンのノートブックを取り寄せてみた。
誂えた、とまでは言わない。サイズが少しだけ小さい、それにエルメスの紙は別格なのだ。
だが、Visionが使えるようになった。すると、書くことがまた増えた。それは、生きることに繋がっている。
そうなると、Globe Trotterも、という欲が出てきた。
しかし、リングで綴じられたリフィル様のノートに、これというものは見つからないまま時が過ぎた。
これも、偶然と言っていい。
四宝好きなら、目的もなく店を見て回るし、ブラウジングもする。そしてどうやら、コレというものと出会った。
リヒトラブは、あろうことか、ポリカーボネートで綴じ具を作った。さらにあろうことか、綴じ具にそって滑らかに動く、専用のリーフも作った。合いそうなサイズのを、ツイストノートという商品の中から見つけて、狐につままれたような気分のまま、仕様を何度も確かめた。実物は、デパートの文房具コーナーにもなかった。試しにと1冊だけ注文したのが届いて、Globe Trotterに付けてみた。
誂えた、とまでは言わない。プレーンのリフィルがないので、Rhodiaよろしく方眼のリーフなのだが、その罫はしっかりと印刷されている。だが、ポリカーボネートの綴じ具の収まりはことのほか良い。
旧友に再会したのだ。
エルメスのカーフは、休ませておくと傷が治っていく。艶が戻り、独特の香りがよみがえる。
触れるときの喜び、書き込むときの愉しみ——エルメスが知っているその感情は、ほかのメーカーのそれとは違う。
妻の作った夕餉は、おでん、ご飯。食後に焙じ茶、クッキー。