爪痕

 

晴れ。18度。

7時に起きる。

朝餉は、大根の皮のきんぴら、きのこと豚ひき肉入り卵焼き、野菜コンソメスープ、チーズリゾット、リンゴのヨーグルト掛け。食後にコーヒー。

感染の拡大が続いている。Go toキャンペーンの見直しを首相が指示した。

mRNAにウイルスの遺伝情報を持たせて、それを抗体とか抗原の核としてワクチン化できたと米国の製薬会社2社が発表している。ウイルスの遺伝子をコピーしたmRNAは、ヒトの体内でDNAにその設計図を読み込ませる(そのメカニズムを理解するのはほとんど不可能だ)。

端折れるだけ端折って、認可に必要な手続きは簡略化される。当局の認可を待つあいだにも、ワクチンは作られ続けて、認可と同時に数千万人分とも言われるワクチンが投下されるらしい。数万人規模の治験を製薬会社は終えているものの、それはあくまで見切り発車である。

マスクを外せる日は、この先、来ないだろうと涼しい顔で言う専門家がいるが、誰だってワクチンの効果に期待する。

昼餉は、中華スープ、毛蟹のチャーハン。

ワクチンと同じくらい大事になるのは、ひょっとしたら布地とか新素材の開発だろうか。着けていることを忘れてしまうようなマスクは、どんなものだろう。

それとも、気管支とか咽喉になにかを装着するような、考えもしなかった外科的解決法が待っているのだろうか。このウイルスが与えつつあるさまざまな打撃は、まだほんの一部なのかもしれない。街の風景は変わりつつある。だがそれは、これからが本番なのだろう。急激に変わった暮らしの様式は、街の様相に爪痕を残す。外食という様式がどこまで残るのか、僕らはわかっていない。

経済はノリシロによって拡大するのに、ウイルスはそれを根こそぎ収奪しようとしている。

新しい経済の発芽がまだどこにも見当たらないのは、状況が悪化しきっていないことの証左かと思う。

夕餉は、きんぴら、妻の作った蟹・豆腐の餡かけ、味噌汁、ご飯。

僕らが知っている爪痕の範囲でしか、その深刻さは想像できない。思いもしなかった深刻さに、僕らはこれから遭遇するのだろうか。

 

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