無言で

 

晴れ。8度。

7時に起きる。

朝餉は、ホテルのレストランで。和食のバイキング。

旭川から北広島のレンタカー屋へ。妻がほとんどを運転する。Googleは、原野を選んで僕らをナビゲートした。クルマの少ない道を選んだのだろうが、それが心配りに思える。

千歳には昼に着いた。

昼餉は、パスタ。妻はキノコとベーコンのトマト風味。僕は魚介のアーリオオーリオ。

スーパーラウンジでミルクやコーヒーを飲みながら、離発着する飛行機を眺めた。この1ヶ月半のことをぼんやり思う。

父とは、言葉を交わすことなく終わった。何事かを訴えかけていたようにも見えた目。わずかに、ほころんだようにも見えた。

だが、ほんとうのところは何もわからないままだ。

認知症の父がわけのわからないことを話したのは、1年前のことだった。どんな話しをしたのか、それも思い出せない。

定刻から15分遅れて、飛行機が羽田に着いたのは暗くなってからだった。少し暖かく感じたのも束の間だった。

首都高が大渋滞で、僕らはたっぷり2時間を座り続ける。

家に帰りついて、デパ地下で買い求めた茶巾ずしやおこわ、カップ麺を啜ってシャワーを浴びた。

札幌へ向かう前日に、妻が買い求めた白いシクラメンがまだ咲いていて、闇にぼんやり浮き上がっている。