没落のわけ

 

夜半に雨、晴れのち曇り。13度。

7時に起きる。

朝餉は、黒豆煮、大根と人参のなます、卵焼き、鶏胸肉・ナス・ピーマンの中華炒め、味噌汁(カボチャ・大根・人参・シメジ・豆腐・大根の葉)、ご飯、リンゴ・洋梨のヨーグルトがけ。

父の家系も、母の家系も、没落の一途を辿った。特に父方は、町で1、2を争うリンゴ農園を営んでおり、知らぬ者はいなかった。祖父は、馬にまたがり農園を見てまわった。

父はその末っ子だったので、独立するにあたり、遺産らしきものはもらっていない。その後、兄たちは経営に行き詰まり、先祖の農園を手放すはめになった。最後は、父に無心に来た。父は、かたくなに応じなかったという。当座の生活費ほどの金額が、窮状を物語っている。

板挟みになった母の心痛はいかばかりだったか。母の金銭感覚は、父の家系にはない特質だった。我が家が没落の憂き目を免れたのは、母の才覚に因る。

姉の作った昼餉は、焼きホッケ、白菜のお浸し、卵焼き、山芋のすりおろし、ご飯、番茶。ほとんど手を付けられず。

母の才覚のどれほどを、受け継いだか。それが心許ない。たまたま稼ぐことができたが、同じくらい遣った。それは、父方の血を思わせる。母は、才覚について語ることがなかった。その間も惜しんで働いたのだ。

ウルグアイの元大統領、ホセ・ムヒカさん曰く。

「貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」

ムヒカさんの言葉は、才覚について語っているように聞こえてならない。

夕餉は、水餃子スープ、おかずは昼の残りとベーコンと目玉焼き、ご飯、リンゴ・洋梨、番茶。

秋が深まる。もみじが赤く色づいたと思っていたら、そんな赤など及びもつかない赤へと変わった。

息を呑む。

 

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