在るところには、ちゃんと在るもの

 

晴れ。16度。

7時に起きる。

朝餉は、ヨーグルトをかけたバナナ、レタス・大根・梅漬け・カニカマのサラダ、竹輪と目玉焼き、味噌汁(人参・玉葱・小松菜・カボチャ・豆腐)、トースト、アールグレイ。食後にコーヒー。

衝立をへだてて、どこかで鳴っている。

いくつかある音楽の聴こえ方のうちの、ある種の理想かもしれない。

それでも、低音から高音まで過不足なく、というのはなかなかむずかしい。音場の広い、分離感があって解像度の高い音は、そういう状況ではなおのこと不利かもしれない。

信楽で陶器を買った帰り。立ち寄った定食屋で、B&Oの小さなBeolitが鳴っていた。

夕方近くの店はほどほどに混んでいて、僕らのそばのテーブルでは8人ほどが会食していた。彼女たちの声が始終聞こえており、向こうの調理場もつねに動きがあった。

Beolitの再生するピアノトリオは、僕らの席にも滑り込むように流れてきていた。

我慢できなくなって、その弁当箱の親分みたいな再生装置のところまで行って、しばし聴き入った。

昼餉は、いちごロールケーキ、コーヒー、サラダ煎餅。フードコートで鯛焼き。

各地の名産のコメを、信楽焼の釜で炊き上げ、焼き魚とともに供した日本の定食。

定食屋と、小ぢんまりしたBeolit。

ある種の理想は、そんなところにちゃんと存在していた。

夕餉は、切り干し大根、女房が作った茶碗蒸し、ブリの照り焼き、味噌汁(人参・玉葱・さつま芋・小松菜・豆腐・大根の葉)、玄米ご飯。

 

「茶碗蒸し、作るわ」と妻が言ったので、なぜ?と尋ねると、「おかんの誕生日だからさ」と。

生きていれば95歳だった。

妻の茶碗蒸しは、すこし味が薄かった。

僕の母は、10月にその歳になる。

 

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